今日はかねてより観たいと心待ちにしていた

「関心領域」を鑑賞。

 

 

ジョナサン・グレイザー監督・脚本

公式HP:https://happinet-phantom.com/thezoneo... 

第96回アカデミー賞®国際長編映画賞・音響賞受賞 カンヌ国際映画祭グランプリ受賞/英国アカデミー賞3部門受賞

 

観終わって10時間以上経つのに、動悸が止まらない。

一見、非現実的でもある映像を打ち消す音響。

現実であることを突きつけられる。

 

息が詰まりそうになる。

実際、詰まってしまいむせて咳が何度も出てしまった。

劇場にいた方々、すみません・・・。

 

これはアウシュビッツ収容所の隣で暮らす家族の日常を描いてはいるけれど、

現代の私たち自身を描いているのですよね。

 

国内外問わず、社会には多くの課題があるが、

外側にいる人は、見て見ぬふりをしてるとまでは言わないが、

日々の生活の忙しさに、何も出来ないまま過ぎてしまいがち。

 

おそらく監督は、

今の自分達の状況を見つめ直すこと、世界で起こっているさまざまな課題に関心を持つこと
そして考えることをメッセージとして伝えているのだろう。

終盤の所長ヘスの心理状態の描き方が、

少しの救いでもあり、あの通路が、80余年前と現在をつなぐ通路にもなっているように思った。

あとは、映画を撮っている者として、撮影方法も興味深かった。

10台くらいのカメラを役者から見えない所に隠し、

遠隔操作で撮影したと言う。
顔のアップなどほとんどなく、少し離れた「観客」のような目線で撮影している。

そのためなのか、私たちは、客観的にそこで行われているドラマを観ることになる。
 

ヨリで表情や細部の変化を撮らなくちゃ!と呪いのように自分に命じているような自分に、

結構なカウンターパンチでした。

 

遅くから映画を撮り始めた自分が、右も左もわからないためにステレオタイプな映画の撮り方を教本として、それは仕方がないと言えばそうなのだが、

それに縛られていたのだということを自覚した。

 

もっと自由で良いし、柔軟で良い。

伝えたいことを伝えるための方法は、無限なんだなと

改めて思った次第です。