そんな“しゃべくり”の中から一部、素敵だったどんぐりさん(1歳児クラス)での“自分だけのお人形づくり”についての実践を紹介します。

 

大好きで取り合いになる園の3体のお人形さん。誰かに取られないか確保しておくのに必死になって、本来の楽しさを感じられていないんじゃないか?の疑問から、一人ひとり自分のお人形をお家の人と作ることにしたそうです。

お家の人の負担にならずお願いできる“ちょうどよさ”を何度も話し合って、一縫いで縫えるような形紙を考え、それぞれのお家で縫ってきてもらい綿は親子行事で一緒に詰めて完成。みんなの前で、「〇〇ちゃんの△△ちゃんです」とお披露目したそうです。

つくる前、お人形が“個人の物”であることで、「いっぱいがいい!」という思いの他の友だちといらぬぶつかり合いを引き起こすのではないか…と、心配になり躊躇もしたようです。でも、クラスの大人で話し合いを重ねる中で、“ぶつかり合いは起こるかもしれない。でもどんなぶつかり合いも同じ。ただいつものように、お互いの子どもの思いを丁寧に聞き取って関わっていけばいい。お人形があろうがなかろうが同じ。”そう結論を出したそうです。

 

その先に出会った子どもたちの姿がこれです。

 

おひるねもいっしょ

いっしょにパーティー

オムツこうかんしようね~

絵本よんであげるね

いっしょにブリッジ♪できるんだよ

プール入れてあげたいな

散歩も一緒。あったかくしてあげるね

 

なんともいとおしい、きゅんとくる姿

取り合うどころか、友だちのお人形が落ちていると「これ〇〇ちゃんの」と心配して届けに来てくれたり、友だちのものを大事にしてくれているというのが印象的でした。

お家の人たちも、お人形を子どもがつけた名前の「△△ちゃん」と1人の人のように大事に呼んでくれているそうです。

他にも、お母さんは、週末「洗う」ために持ち帰りたいことを「お風呂に入れたいから連れて帰ろう」と伝えていた話や、子どもの声に応えて後日髪の毛を足してくれたお母さんの話、おばあちゃんがオムツ作ってくれてた話など。お家の方が、お人形を子どもの気持ちと一緒に大事にしてくれている姿が次々出されて、とってもあったかい気持ちになりました。

 

担任が頭を怪我した子を手術。もちろん麻酔も

 

 

大人が「大事にしてね」なんて言わなくても、自分が大事にしているものを大事にされることで、自然に大事にしたくなるんですね。そして、他の人の物も大事にしたくなる。

子どもの背中から学ぶこと、大人が反省させられることっていっぱいだな~と改めて胸がいっぱいになりました。

「お人形さん、明日も遊べるように大事に片付けようね」なんてつい言ってしまっていた自分に大反省です。それでは気持ちはしまえませんよね。それに、“人”なら“片付け”ちゃだめです、よね。

 

小座間