とちの実が開園した2008年から2016年までの園庭です。
その頃の園庭はというと…
・走る、動き回るのが主軸の遊び。よって、小さい子との衝突にハラハラが絶えない
・緑がほとんどないので、ダンゴ虫一匹みつけるのに苦労する
・雨が降ると水たまり(プール)になってしまう砂場、カラスの水浴び場に…
・地面が小石混じりで裸足が気持ちよくない、滑って転ぶとすぐに擦りむける
・コンクリートや鉄製の遊具でのケガが心配(実際に頭を打ち縫うケガが起きたことも)
・大きい子達のもてあまし行動がある(小さい子を叩く、物を投げる 等)
また、約束事やルールがたくさんありました
・小さい子は大きい砂場に行かない~大きい子とぶつかってしまうから…
・大きい子は乳児用砂場に行かない~大きい子が入り込むと小さい子が落ち着かなくなってしまうから…
・築山の上からから水を流さない~築山の土が流れ、痩せていき、斜面がなくなってしまうから…
・すべり台は下から登らない~こども同士がぶつかったり、滑って転んだらケガしてしまうから…
・地面に穴を掘らない~凸凹になって足をとられて転んでしまうから…
・水道の水は自由に使ってだめ、たらいに出した分だけ~際限なく使ってしまうから… 等々
これらは、こども達のことを考えた約束やルールのはずだったのに、本当に”こども達のため”になっているのだろうか…
・こども達から「何して遊ぶー?」と大人を誘う声。大人がいないと遊びがみつけられなくなってる??
・誰もいない園庭じゃないと出られないというのは、縦のつながりをうまれにくくさせてしまっているのでは??
・大きい子達の発散しきれない思いが、小さい子へ攻撃的になったり、石や泥を道路や隣家に向かって投げる行動に表れていたのではないか??
・衝突にハラハラしてしまうのは、走ることしかできない園庭だったからではないか??
・そもそもこども達は何も悪くない。その環境の通りに過ごしていただけなのではないか??
そんなこども達の思いに気付いた時、改めてどんな姿をねがうのか?どんな園庭環境にしたいのか?
「こども達一人ひとりが好きな遊びをみつけ、集中・没頭してほしいんだよね!」
「大人達は、こどもの”やってみたい”を応援したいんだよね、本当は!」
「規制やルールでこども達を縛らず、自ら考えて決められる力をつけて欲しいんだよね!」
「遊びながら自然と身体づくりが促されていくことをねがっているんだよね!」
「街場の保育園だからこそ、せめて園庭は緑があふれ自然を感じられる環境にしたいよね!」
『そもそも、0~5歳までのどのクラスも、安心して、いつでも出られる園庭にしたかったんだよね!』
そんな思いが寄り集まり、園庭を自分たちの思いと手で作り替えていこうという流れになっていき、2016年に園庭整備に踏み切ったのでした。
それから7年後の2023年、現在の園庭です。
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今では5歳児が遊んでいたとしても、0歳児も「まぜて~」と園庭に出てきて、自然と異年齢の関わりが生まれています。
規制やルールもできるだけなくし(なくても見守れるような環境になってきている)、こども達の「やってみたい」を応援できる環境と大人達の関わりに変わりました。
以前あったような、大きい子たちの”もてあまし行動”もなくなり、こども達のやりたいことに向かうキラキラとしたまなざしを感じられるようになってきています。
大人達が散歩先から雑草を持ち帰ったり、自宅から草花を持ち寄ったりしたことで園庭に緑があふれ、虫たちはもちろん、以前は見かけることのなかったカエルも現れるようになりました。
途中経過をとばし一気に現在の園庭へ飛躍してしまいましたが、順風満帆にこの7年間を歩んできた訳では全くありません。問題が出ては話し合い、策を講じ、良くなってきたな~と思っているとまた違う問題が出てきて…といった具合に、そんな日々を繰り返してきて今があります。
園庭を作り替えたらゴール、それで全て上手くいく…なんてことはなく、むしろそこからがスタート。日々思いをよせ、手をかけ、園庭に愛を注いでいくことが大事なんだと、整備を進めてきて感じています。
そのためには、研修と整備の両輪で進めていくことが不可欠だと実感しています。こども達の姿は何を語りかけてくれているのか?それをどのように形にしていくのか?自分達では知り得ない知識を、専門家の方と共に研修を通し学びを積み上げながら、自分達のものに落とし込んでいくことができなければ、園庭整備は形だけで終わってしまうのだと思います。
十人十色というように、園庭も園の数だけ違います。よその園と同じものが自園に合うとは限りません。形だけの模倣はかえってケガや職員の不安なども招いてしまったりします。まず他園を見て実際を知るところから始めてみてはどうでしょうか?
とちの実保育園も全国の同じように園庭整備を進めている園さんに見学に行かせて頂き学んでいます。とちの実の取り組みが、これから整備を始めたいと思っている園さんの力になれるなら、同じ思いの仲間が増える嬉しさ以外の何物でもありません。とちの実への見学を希望される方はいつでもお受けしたいと思いますので、お気軽にお電話ください。お待ちしています。
社会福祉法人たんぽぽ会 とちの実保育園
園長 長岡慈子
山形市南四番町3-11
TEL 023-666-8899
mail tanpopokai@totinomi.or.jp
セノ


