話し合って1ヶ月。


全くもって進捗なし。


彼がしてくれたのは「寝室を分ける」だった。

しかし、仕事が忙しくて、朝は早く夜は遅くの生活のなか、嫁との話し合いをしている様子はなく。


少しイライラしてた。



話し合いを重ねる中で、嫁の抵抗にあって進まない、とか、そう言うことに対する構えと覚悟はあった。

例えば別居を模索するとか。



そう言う動きはなかった。



モヤモヤしていた。




そんな時、久しぶりに週末家にきた彼。

楽しくお酒を飲んでくれたみたいで、酔い潰れて寝込んでしまった彼は、終電を逃した。


普段から泊まった時は翌朝の始発で帰る事がお決まりだったけど、日曜日にそれをやった事はなかった。

珍しいなぁ、と思いつつ、ちょっと嬉しくて隣で寝付いた。



深夜2時くらい。



モゾモゾと胸に妙な感触。


…はぁ。彼だ。



彼は酔い潰れて寝付くと、夜中に目を覚ましたタイミングで求めてくる。

当然、寝ている私は起こされる形になる。


眠いなか、モゾモゾされたところで、気分が乗っているわけでもなく、当然気持ちがいいとかそう言う事では当然なく。


しかし、一度“ひとりで”その気になった彼はしつこいので、結局お付き合いしてフィニッシュを迎え、そして、その心地よい疲労感の中再び眠りにつく。


一方。


途中で起こされた私は、眠気も覚めてしまい、寝るに寝られない。

トイレに行ったり、水を飲んだりしながらようやく微睡みはじめたところで、彼の帰る時間である…。


お見送りをするためにまたバタバタと着替えを手伝ったりして、エレベーターホールまで見送ると、せっかくの微睡みも遥か彼方。


結局そのまま起きて出勤となる。



細切れの睡眠時間、3時間程度。



ヨレヨレである。




これが今週の間に2回あった。




私は元々寝不足には弱い。

しっかり眠らないと色々とメンタルに不具合をきたす。




2回目はこの火曜日。

祝日の前夜である。


その祝日、彼は友人と共にあるロードレースに参加するようだった。

私を連れて行くと言う選択肢は今回はなかった模様。



火曜日の夜中、翌日の準備を整えた彼が泊まりにきた。私は既に眠りについていた。

玄関の鍵を開けて布団に潜り込んで来た彼にお疲れ〰と声をかけて、明日の予定などを話す。

情報交換を終えて微睡み始めたところで、また“モゾモゾ”が始まった。


明日レースでしょ、早よ寝り。


そう声をかけるもモゾモゾはおさまらない。




…。




寝かせるには出すものを出させるしかなかろう。



こうなるとヤケである。



6年付き合ってても、未だに求めてもらえる事はある意味有難いとは思うけれど、少しはこちらの体調だったり気分だったりを考慮して欲しい。


そして、6年も付き合ってるからこそ、どうすれば満足するかはよくわかってる。


でも、それは同時にひどく自分を惨めな気持ちにさせるのである。



ことが終わり。



彼はことんと眠りにつく。

私もウトウトし始めた。



…そこで目覚ましである。


彼はレースに向かうために起きた。

眠そうだったけど、友人を迎えに行かなければならないので頑張って起きていた。


外に出て、車を見送る。

別れ際に、ふと寂しくなって彼にキスをねだってみた。


…シカトされた。



なんかカチンときた。



多分、これがきっかけだっんだろう。



家に戻り、なんだか面白くないし、眠気はどっかいったし、モヤモヤするまま冷蔵庫のビールを飲み始めた。



…これがいけなかった。



(つづく)