桜の蕾は未だかたく、暖冬と言われたこの冬にしては開花が遅れている。

私のミニ花壇のヒヤシンスも昨年は咲き揃っていたが、今年は漸く咲き始めた。

 

 

子供の頃からの友は所沢に住んでいる。年に数回食事をしてお喋りする長―い長いお付合いはもう70年をとうに超えた。陽子は元気で積極的に老いを蹴散らして、一人暮らしになっても暢気で自由で楽しいと今を謳歌している。

ここ数日のラインの便りがマイナス気味になったので、電話をした。

「眠れない日が続いて、睡眠導入剤を飲んだ所為かふらついて気分が優れない上、血圧も高い。週2回近くの集会所に出掛けていたが、ここずっと閉篭っている」

元気な陽子が急に弱気になっていた。

「快眠を期待しない、眠くなったら寝る。薬は飲まない。予定のない生活だから眠れなかったら起きていればいい。本を読む、ラジオ放送やCDを聴く、数独も難問だと睡魔が出現するよ」と、自分流を推した。

たわいない話を1時間もお喋りをした。陽子は気を取り直した様子で、だんだん何時もの声に変わった。

窓辺に咲いている花の話になった。手間要らずで一年中咲き続ける「ハナキリン」を挿し芽して、次に会う日にあげる約束をして携帯をおいた。