待ち合わせの時間、ここからミッキーの姿が見える。
止まない心臓の音に自分でも驚いたままだった。
いつも通り・・いつも通り・・。そう自分に言い聞かせながらミッキーと逢った。
ミッキー: おうw
羽子: ・・おうw何となくギコチなかったけど、なぜかいつもと変わりなく話すことができた。
近くのダイニングバーに入って、話すことになった。
と言っても、ミッキーは生ビールを。あたしはウーロンハイを注文して、これまたいつもと何ら変わりはない。
とにかく、このモヤモヤをすっきりさせたい。先に話をしよう・・・。
ミッキー: こないだのこと、おまえ後悔してんの?
羽子: ・・どちらとも云えないかな。
とにかくミッキーがミッキーじゃなくなってきたって云うか・・。いなくなっちゃった感じで・・。
ミッキー: オレは、前よりもっと楽しくなったよ。今日も楽しみだった。
あれからずっと、仕事してても、会議してても羽子の顔が出てきてすごくウザいです。あたしと一緒だ・・。
羽子: あたしもそうだった・・。
ミッキー: ただ、オレ離婚するつもりないし、羽子だってこれから結婚するだろ?
羽子: そうだね。だから困ってるけど・・。でもそれってさ、お互い社会人としてちゃんと果たさないといけない大人のルールだよね。
ミッキー: これから結婚する女と付き合ったことないし、これからどうしていきたいとかも、オレ判んないけど、離れたくない。そか・・・。
快楽主義者が2人集まるとこうなるのか・・
なんなのか・・・つまりは、男と女になっちゃったんだからこのまま時の流れに少し任せてみようようと云ったところなんだろうな・・。
実にミッキーらしいwwその日は、またも終電の時間に気がつきながらも、お互い気がついてないフリ。
帰ろうって言葉がどちらからも出ることなく、そのままホテルに入って翌朝まで一緒に過ごした。
ミッキーは一日に2回は必ず嫁にメールをする。これは、ミッキーの家のルールで、単身赴任という名の元の別居という意味で、嫁に義務付けられていることでもあった。
結局、今までの彼女の前でも正直なミッキーのことだから、気を使うことなく、メールのやり取りを目の前で行ってきたのだろう。
ミッキーの家の現状を知らない女ならば
、 惚れた男が目の前で嫁にメールするなんぞたまらない行為 だったに違いない。
お互い本気になりたくたって、そりゃなれないわwしかし、まだ友人関係の時、文面を見せてもらったことがあるが、それはそれは事務的な内容だったのを憶えている。
「おはよう。これから仕事に行きます。」
「家に戻り、これから休むところです。」
一緒に居る間、ミッキーは嫁にメールを。あたしはH氏からの電話をとった。
これもまた、出ないとママの電話に掛けたり、会社に掛けたりするので、すでに諦めてH氏からの電話を取るようになっていたからだった。
お互いに、お互いの連れ合いとの関係を心底理解していたので、変な嫉妬をすることもなく、お互いすべて受け入れて付き合い出した気がする。
平日はゲーム、週末は2人で過ごすことになってから1ヵ月が経とうとしてた。
季節は年の瀬。
忘年会シーズンでもあった。ミッキー: 今日は前に世話になった社長のとこの忘年会だよ。遅くなるけど、帰り連絡するな~。
羽子: そかぁ。了解よ。飲みすぎに注意~♪今日はミッキーもゲームしないみたいだし、あたしも飲みに行っちゃおうかなw
近所の行きつけのバーに飲みに行った。
時計はすでに11時を回ってる・・。前の社長って、フィリピンパブ大好きなおじさんだった気がするwということは、ミッキー久々にフィリピンパブだww
嫉妬もしなかったけど、何となくイイ気分はしないww
とはいえ、終わったらメールでも入るでしょう・・。そう思いながら、羽子は羽子で大好きなズブロッカをガボガボと体に流し込んでいた。
携帯がなった。
ミッキーからだ。羽子: ぅいっす。もう終わったのか?
ミッキー: おうw今からおまえのとこ行っていいか?えw何かあったのだろうか・・。今までのミッキーではない。
羽子: どしたの?何かあった?
ミッキー: いや。とにかく行っていいか?1時間掛からないと思う。あたしの部屋は、孤立しているし、家族に知られることなく人を呼べちゃったりする。
・・・とはいえ、ミッキーどうしたんだろう。。。考えてみたら、ここまでこの時間の交通手段はタクシーだけじゃない。
2万は掛かるwwwとにかく、家に戻って連絡を待つことにした。
40分後、ミッキーから細かい道を聞く電話があった。もう近所に来ているみたい。
コートを着て家の前で待っていると、それらしきタクシーが止まりミッキーが降りてきた。
少し酔っているみたい?羽子: 大丈夫?かなり飲んだねwフィリピンパブ楽しかったのか~?明るくいつも通りに言ってみた。
ミッキー: 全然おもしろくねぇ。嘘みたいにおもしろくねぇ・・。???
からみ酒か!?羽子: とにかく寒いからさ、家来なよ。ミッキーは悪酔いしてしまったのか、様子がおかしい。
部屋に通して、ミッキーには少し小さかったけど、あたしのスエットを無理くり着せてベッドに入れようとした。
その時だった。ミッキー:
・・何で
・・何で嫁なんかに行くんだよ・・・
何で離れなきゃいけないんだよ・・・ 何で一緒に生きられないんだ!
離れたくないよ・・ベッドに座っていたあたしにしがみついて、ミッキーが声を上げて泣いている・・。
いつも冷静で、絶対こんな崩れ方なんてしないミッキー。
あたしは、ひとことの言葉も口から出て来ず、一緒にただ声を上げて泣くしかなかった。
←1.羽子の結婚⑪へ
→1.羽子の結婚⑬へ