つづきです。
「さて、胃を摘出した後では、腸の一部を胃に
替えてゆくという、食べ方の訓練があります。
これは失敗を繰り返しながら、少しづつ身に付き、
体力もほんの少しづつ付いて来て、いま貧血改善の薬
だけを飲んでいます。
ほんとうに自分の身体をいたわりながらの、自分中心の
生活を送っております。
読書会(※wako-sanが主催するサークル活動)のメンバーの
みなさんをはじめ、
昔からの古い友人、新しい友、真の友だちは、人生の宝です。
私はこの宝の友人たちに見守られ、励まされ、慰められ、
今日1日の命を全う出来るのです。
そしてもちろん、家族もしかりです。
私もしっかり目をあけて、現実を見つめれば、この夏で
75歳の老女です。
がんという病には、死との距離が近いのです。
完治する人も大勢いますが、命を落とす人も大勢います。
アメリカのスタンフォード大学114回目の卒業式に招かれた、
スティーブ・ジョブス氏のメッセージは、刺激的で心に
響きました。
TVでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、ジョブス氏は
社会で活躍しようとする人には、
「ハングリーであれ、愚かであれ」と。
私には、「『死』は人生の決断を助けてくれる・・・」
との言葉が、心を打ちました。
他人の人生を生きることで、自分の時間を無駄にしてはいけない
とも言っています。
いま、人生の岐路に立っていますが、ジョブス氏の死は私に
生きる力を引き出してくれているようにも思えます。
自分の未来に、悲観でなく、豊かな将来を描いている私が、
ここにいることも確かです。
今の私に、支えの手を差しのべて下さる大勢の方に、
感謝いたします。
ありがとうございます。
ありがとうございます。 wako-san 」
この書簡はこれで終わりです。
タイピングしていて、私に母がのりうつっているような気持ちに
なりました。父も母も、そして私も、一介のものを書く人間。
不思議な、『家族の縁』を感じます。



