今日は、懐かしい友達と約束があり、待ち合わせの場所まで地下鉄を使って行った。
その前まで、さんざん立ち仕事で疲れており足も痛かった。地下鉄が入って来ると、もう自分が座れるか停車する前から、座席を狙っている。地下鉄が停車してドアが開くと中の人がドッと吐き出される。
降りる人が出終わるまで、自分の狙っている席が開いているかどうか内心ハラハラである。
夕方六時のこの時間は疲れのピークで、たとえ五分間だけでも座らせて欲しい。年寄りがいようと、お腹の大きい妊婦さんがいようとこの時間帯は疲れていて譲れない。![]()
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中の人が出終わると、今まで、整然と並んでいた人の列も、我先にと列車の中に飲み込まれて行く。幸いに私は列車の中ほどに![]()
席を陣取ることができた。心の中で「フゥーッ」とほっと一息ついていたら、私の隣に一人分半ほど開いている席へ紙袋を一杯持った母娘がドカドカと入ってきた。まず母親の方が「やれやれ」言いながら
ドッカリと座った。そして、その母親が娘に「あんたもここに座りなよ。」と言うと娘は、「いいよ、私にはちょっと狭すぎるから。」と言う。見るとその娘さんはお腹が大きい。「ああっ!よりによって、なんでこの時に目の前に妊婦が…」と思いつつ同じ譲るなら早いほうが良いと思い「どうぞ」と私は席を立った。すると娘さんは驚いて「いえ、結構です。」と言う。立って見て私もビックリした。私の目の前に突き出てたお腹は、中に赤ちゃんが入っているのではなく、入っているのは脂肪と言う事にすぐ気がついたからである。彼女の着ているワンピースが胸の下あたりでキュツとリボンで閉めてあり、胸の下からお腹あたりが妊娠五ヶ月ぐらいの大きさに見えるのである。そのワンピースも妊婦服と勘違いした。まして座って下から見るとなおの事、お腹が突き出しているように見えた。しかし、立ってみたら下から見るよりもお腹のカーブなだらかなのと、女の直感で妊婦でない事がすぐ分かった。どうやら、まだ独身の雰囲気である。「まずっ!」と思ったが相手もすぐ感ずいたらしくそっぽむいている。
私は元の席に座ったが彼女の履いている靴を見たら、踵の高いピンフィールの靴を履いている。……ああっしまった!と思いながら惚けるしかない。
目的の駅まで十分ほど、私は瞼をしっかりと閉じてうつむいて通した。![]()
親切のつもりが、私の勘違いにより大変な失礼をしてしまった。