三井住友海上プライマリー生命〜開業20周年記念〜
ベルリン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ベルリン)

 

2022年12月6日[火]19:00

東京オペラシティ コンサートホール

 

[出演]
クリスティアン・ティーレマン(Cond)[当初予定のダニエル・バレンボイムから変更]

べルリン国立歌劇場管弦楽団
[曲目]

ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

[当初予定の シューベルト:交響曲第7番「未完成」、チャイコフスキー:交響曲第5番 から上記曲目に変更]

 

コロナ禍をはさんで2019年以来3年ぶりのティーレマン、そして2016年のブルックナー・チクルス以来実に約7年ぶりに生で聴くSKBとなりました。

 

当初のチャイコ5番とバレンボイムでは見送っていましたが、指揮者変更を知って急遽、残っているS・A席の中から(平日の行けなくなるリスクを取りつつ)チケットを押さえての鑑賞です。

 

前プロ、メインとも16型両翼配置、チェロバスが左手、Timが最奥右手、打楽器がその右隣で、Timの左隣は右からTp・Trb・Tub。その前列に、Hrワーグナー・チューバ(1階席の為、死角の詳細は分からず)。前プロのHpは右端。

コンマスはLothar Strauß (1st Concertmaster)、サイドにJiyoon Lee (1st Concertmaster)?、2プルト表にYuki Manuela Janke (Concertmaster)?、弦のトップはわかる範囲で、2nd=Knut Zimmermann (1st Concertmaster)?、Vc=Andreas Greger (1st Principal)?、Cb1プルト裏にChristoph Anacker (1 st Principal)。TimはTorsten Schönfeld (Principal Timpani)。

 

とにかくティーレマンの伸縮自在なSKBの手綱さばきが素晴らしい。SKDよりも自分のテンポ、音量バランスを徹底できるのか、現地ベルリンでのリング・チクルスを経て相性は相当良いように思いました。

 

テンポの遅さで言えば、ついこの間のネルソンスがいますが、指揮を見ながら聴いている分にはティーレマンのたっぷりとしたテンポ、間、自然なアッチェレランドにそれぞれ納得感がありました。

 

なお、ティーレマンは両曲ともタクトありの暗譜。

 

前プロのトリスタン、前奏曲はやはりたっぷり目のテンポで始まり、高揚する箇所でじりじりとテンポアップ。オペラのオケ相手だけあって、いつも以上に激しく上に打点を置く指揮ぶりでした。

SKBのコンバス、SKDより断然荒々しくベルリン・フィルほどの音圧は無いようにも思いましたが、迫力満点で、愛の死での各木管のソロや弦は特に中弦の濃さなどは、全幕聴きたいと思わせる音色をしていました。

 

メインのブルックナー7番。アナウンスはありませんが、2楽章でシンバルとトライアングルが鳴りましたのでノヴァーク版でよろしいかと思います。

全体を見渡すとやはり2楽章にピークを持ってくる設計のように感じました。

 

1楽章。冒頭からゆったり目のテンポ。練習番号N前のアクセントをしっかりつけてテンポを落としていたかと思います。練習番号Wはやはりたっぷり目のテンポで聴かせてくれました。

2楽章はAdagioのテンポ。特に練習番号S前のrit.は強烈にかけていたように思います。そして練習番号SのSehr Langsam、標準的な演奏より結構たっぷり目のテンポを取っていました。練習番号V前でテンポアップし、Wへ。練習番号Z前はスコアにない強烈なrit.を聴かせてくれました。

3楽章。2楽章の後だけあって、大分リラックスした指揮ぶり。ここは標準のテンポか気持ち速めですがTrioは1・2楽章と同様たっぷり目のテンポ。リピート後はリピート前よりもテンポアップする変化を見せるティーレマンでした。

4楽章はたっぷりテンポでの入り。練習番号C前から一段テンポを落としていたように感じました。練習番号FのTuttiは強烈な音響。練習番号Iの1stの上昇音型に合わせてテンポを上げています。練習番号S前のパウゼはしっかり。練習番号Z前のLangsamはたっぷり。ラスト331小節目のfffに向かってスコアにないアッチェレランド。E-durの和音の響きが消え入るまで静寂は保たれました。

 

惜しむらくは多めの客席ノイズと、16型のSKBにはオペラシティは小さすぎた感があります。

カーテンコールが5回以上はあり、ティーレマンに対するソロ・カーテンコールも2回。多くのBravoがかかっていました。



ブルックナー7番実演の個人的な順位づけは

BEST=ハイティンク/WPh(2019年8月)@Salzburg, Großes Festspielhaus

2=ラトル/Bph(2013年11月)@SH

3=ティーレマン/SKB(2022年12月)@TOC

4=ティーレマン/SKD(2012年10月)@MM

5=ハイティンク/LSO(2015年9月)@京都
6=ブロムシュテット/LGO(2017年11月)@Kitara,SH

7=メスト/クリーブランド管(2010年11月)@SH

8=バレンボイム/SKB(2016年2月,チクルス)@SH

9=上岡/NJP(2019年9月,ハース版)@MM

10=ギルバート/NDRエルプ・フィル(2018年11月)@SH

11=ブロムシュテット/バンベルク響(2016年11月)@TOC

12=スクロヴァチェフスキ/読響(2010年10月)@SH

13=ブロムシュテット/N響(2011年9月)@SH
14=インバル/都響(2012年4月)@SH
15=ギルバート/都響(2022年3月)@SH
16=ノット/東響(2015年6月)@SH

17=小泉/都響(2019年10月)@SH

18=尾高/N響(2010年5月,ハース版)@NH