Don Carlo
Giuseppe Verdi 1813-1901
Opera in five acts
Libretto by Joseph Méry & Camille du Locle after Friedrich Schiller & Eugène Cormon
1st performance, 5 act edition, 26 December 1886, Teatro Municipale, Modena
1st prformance of this production September 30 2007
Sung in Italian with German & English surtitles
- 5th January 2020
- 6:00 pm
- c. 3½ hrs including one interval
- Opera House, Oper Frankfurt
Director: David McVicar
Revival rehearsed by Benjamin Cortez
Director's Assistant: Caterina Panti Liberovici
Set Designer: Robert Jones
Costume Designer: Brigitte Reiffenstuel
Choreographical Assistance: Andrew George
Lighting Designer: Joachim Klein
Chorus Master: Tilman Michael
Dramaturge: Malte Krasting
Elisabeth de Valois: Olesya Golovneva
Philipp II: Simon Lim
Princess Eboli: Tanja Ariane Baumgartner
Rodrigo, Marquis of Posa: Bogdan Baciu
Count of Lerma: Hans-Jürgen Lazar
Tebaldo: Bianca Andrew
Grand Inquisitor: Magnús Baldvinsson
A Monk: Anthony Robin Schneider
Voice from on High: Florina Ilie °
Flemish Deputies: Danylo Matviienko °, Pilgoo Kang °, Frederic Mörth, Seungwon Choi, Florian Rosskopp, Miroslav Stričević
Frankfurter Opern- und Museumsorchester
ドン・カルロを観たくフランクフルト歌劇場へ、すると3日のハンブルクでオルトルートを歌ったT.A.バウムガルトナーはこちらでエボリ公女という巡り合わせになりました(中一日は大変そう)。
12/7~1/5まで8回公演の最終日を現地にて。
95~15ユーロまで7段階あるうちの上から3番目のカテゴリーで68ユーロは新国立劇場のC席くらいの値段ながら、ハンブルクに続いて座席は新国の2階バルコニー右端くらいなので、A席(かつてB席)相当。
10-10-8-6-5の通常配置でCbが中央奥の右寄り、木管が左手、左端にHr、中央奥左寄りにHp、金管、Timが右端という配置。
指揮のS.ゾルテスは初聴きかと思ったら、2011年2月二期会のサロメ(コンヴィチュニー演出)で都響を振っているのを聴いていました。テンポは一般的なもので、一部気持ちゆったり目のテンポをとったくらい、慣習的なルバートはしっかりやってくれ、マリインスキー来日の際ゲルギエフのあっさりテンポに不満がありましたので、とても満足できました。プロンプターボックスを置かず、手慣れたキュー出しをしていますが、最終日ということもあってか、それまでにないルバートを仕掛けたからか、一部1stのパートではわずかにばらける場面がありました(個人的にはこうした冒険はwelcomeです)。
各ソリストとも際立ってスター歌手という訳ではなく、私自身初聴きの方ばかりでしたが、粒揃いで高水準の歌唱を聴かせてくれました。
タイトルロールのアルフレッド・キム、歌はいいのですが、遠目にどうしても朝青龍みたいに見えてしまうのが少々残念。エリザベッタのゴロフネヴァが格式高い衣装も相まって美しいだけになおさらでした。そのゴロフネヴァも力強いスピントといった印象を持ちました。
フィリッポⅡ世のサイモン・キムはT.J.マイヤーに近い声質である一方、声量もあって問題ない歌唱であるものの少し声がガラガラ系。こちも遠目にスペイン王というより朝青龍か金正恩のよう。
エボリ公女に一昨日、オルトルートを歌ったT.A.バウムガルトナー! こちらでも力強い圧倒的な歌唱を聴かせてくれました。ただ、2幕1場のいわゆるヴェールの歌のカデンツァは歌いにくいからなのか結構ゆったり目のテンポでした。
ロドリーゴのB.バキューも素晴らしい歌唱。
大審問官のバルドヴィンソンやレルマ伯爵、修道士は少し弱い印象。
一方、テバルドや天の声は高水準で物語に浸らせてくれました。
合唱は大人し目ながら整った、緻密さで聴かせてくれる歌唱。
オケも安定したもので、ハンブルクのようなCbの分厚さまではありませんし、金管はところどころへくっているのですが、高弦は少な目の人数でも痩せることがありませんでした。木管、Tim、打楽器も好印象。
演出のD.マクヴィカーは2010-11年の新国立劇場「トリイゾ」や2014年2月二期会での同演目以来。
音楽を邪魔しないどころか、ト書きに添いながらトラディショナルになりすぎず、スタイリッシュな美しさで、もう一度観たいと思わせてくれました。
全幕、階段状の舞台で展開し、1,2,5幕では奥に巨大な振り子が配され、時の流れとその不可逆性を暗示し、物語の悲劇性が美しく強調されるように思います。3幕の奥には巨大な十字架が現れ、燃え上がる炎で異端者が火刑台にかけられ執行される様が描かれました。4幕2場でのロドリーゴが銃撃される際の破裂音が想像以上に大きく、しばし客席がざわつきました。
3幕と4幕の間に休憩が1回なのも二期会公演時と同様。一気に聴かせてくれました。
5幕ラストはスコア通りにディミニュエンドしない、強奏での終わり方(スコア通りで印象深かったのは、2011年6月のルイージ/MET来日公演です)。
長丁場ということもあってか、カーテンコールは2回と比較的あっさり目。