冬の奈良の旅2日目午後は「ならきたまち」に出かけました。
近鉄奈良駅や奈良県庁のある東西のメインストリート大宮通りの北側が「ならきたまち」と呼ばれてます。
「ならきたまち」は東側の東大寺大仏殿や二月堂以外はあまり馴染みがありませんでした。
「ならきたまち」にある名園「依水園」や「吉城園」は一度訪ねてみたいと思ってました。
奈良ホテルを出て荒池を渡ると🦌奈良公園、
この季節でもさすがに観光客が多い。
大宮通りから一歩裏道に入ると、
静寂な奈良きたまちの佇まいがあります。
◾️ 依水園・寧楽美術館
東大寺南大門の西側に位置する日本庭園「依水園」は江戸時代前期に作庭された「前園」と明治期に築かれた「後園」で構成されてます。
正門を入り寧楽美術館や三秀亭のある前園を横に見て、若草山を借景に池に南大門を映す雄大な後園から巡りました。
流水を巧みに取り入れた池泉回遊式の後園は京都の無鄰菴によく似ていると思いました。
後園の茶室の一つ「挺秀軒」に続く園路には、
苔の凍結や枯渇を防ぐ市松模様の「敷き松葉」、
「菰巻き」と共に師走の冬仕度です。
依水園の苔庭を流水に架かる石橋や飛び石を辿って巡ります。
緩急ある流れに小滝や水車小屋もありました。
築山の園路に広がるドウダンツツジ、真紅に染まる晩秋も楽しめる庭園です。
後園を巡ってから前園に戻ります。
池泉回遊式の前園には江戸時代前期に移築された三秀亭があります。
三秀亭は有料の依水園に入園しなくても池泉回遊式の前園を鑑賞できる食事処です。
依水園の手前にある寧楽美術館は、海運業で財を成した中村家3代が収集した美術品のうち神戸大空襲を免れた2千数百点を所蔵、展示してます。
この日開催されてた企画展は「やきもの用語実見展」、なんでも鑑定団で中島誠之助氏がよく口にする「やきもの用語」、実物の個所が示され大変勉強になりました。
◾️ 吉城園(よしきえん)
名勝依水園の隣り、万葉集にも詠まれた宣寸川(吉城川)に沿って自然の起伏に富んだ日本庭園があります。
奈良県が管理する吉城園の茶室は野点も楽しめ、茶会のために有料で供用されますが、庭園は無料で散策できました。
吉城園に入ると直ぐに急な石段が現れます。
石段を上がると眼下に池泉回遊式の庭園が広がり、その先に離れ茶室がありました。
離れ茶室の庭から美しい苔の散策路が続きます。
吉城川沿にも美しい苔と石畳が続きます。
吉城園内の小高い場所に四阿があります。
この四阿から眺める若草山は絶景です。
「依水園」と「吉城園」を訪ねた後、ならきたまちでぜひ立ち寄りたいカフェがありました。
依水園前を北に行くと東大寺戒壇院があります。
戒壇院の裏に目指すカフェがありました。
◾️ 工場跡事務室
築100年近い乳酸菌飲料工場跡がリノベーションされ、2009年に「工場跡事務室」というユニークな名前のカフェとしてオープンしました。
戒壇院裏の道は東大寺大仏殿につながり、それなりに人通りがありますが、コーヒーカップのイラストの小さな看板に気づく人はなさそうです。
このカフェは金土日の週3日だけの営業、
土日の朝9時からのモーニングにわざわざ遠方から訪ねて来る人がいるようです。
店内には元宿直室のほっこりした畳部屋と元出荷場だった喫茶室がありました。
コンクリート床の喫茶室にはストーブの暖がありますが足元から深々と冷えるのでコロッケパンと熱々のホットワインを注文しました。
夕暮れ前のひと時を昭和の初めにタイムスリップした工場跡で過ごしました。
「ならきたまち」には、旧奈良監獄や奈良女子大のレトロな洋館が残っており、隠れ家カフェも点在する古都散策の穴場、また訪ねたい奈良です。