まだ陶芸の知見の少ない私が、当社の電気炉での作品作りについて昔の雑誌を読んで少し勉強です
辰砂釉と藁灰釉を掛けたワインクーラー
2点とも「ワインクーラー」高さ 13.2cm 径 19cm
「窯変」とは、焼成によって起こる釉調や素地の思いがけない変化を指し、炎が発生する窯で起こります。
炭や木材を詰めたさや鉢を電気窯焼成して焼くこともできますが、焼成途中に炭などを投入できる電気窯なら、いろいろな窯変が可能になります。
今回から連載するこのコーナーでは、炭化仕様の電気窯による面白い窯変に挑戦します。
釉薬は藁灰(わらはい)釉と辰砂(しんしゃ)釉を使い、後者を上掛けする
焼成途中に炭を投入する
□ワインクーラーの成形と素焼き
約2Kgの信楽並白土で、高さ 17cm、直径 20cm程度の、多用器としても使用できるワインクーラーを制作します
波文様は、竹ベラを上下に動かして入れます
1 粘土を轆轤の中心にすえる
2 高さ 17cm、直径 20cm程度に挽き上げたら、轆轤を回転させながら竹ベラを上下に動かし、腰に波文様を入れる
3 持ちやすい大きめの耳をつける
4 もう一つには、把手の葛(くず)を通す10mm径の穴を両サイドに2個ずつ開ける
5 よく乾かしてから素焼きする
□藁灰釉の上に辰砂釉を掛ける
藁灰釉を下掛け、口の部分に辰砂釉を上掛けします
ともに浸し掛けで施釉しますが、変化を付けるために一部にひしゃくで辰砂釉を二度掛けします
1 素焼きした作品の内側に藁灰釉を掛ける
2 藁灰釉に浸して外側にも掛ける
[施釉のポイント]
腰まで浸すので、最初は斜めにして藁灰釉に入れて、途中から水平にします
3 腰まで浸してから引き上げ、1時間ほど乾かす
4 辰砂釉の中に、好みの位置まで入れて挽き上げる
5 変化を付けるため、ひしゃくで口の一部に辰砂釉を二度掛ける
6 乾いたら、窯に詰める
□窯詰めと本焼き
窯床には、籾殻と木炭を敷きます
焼成途中に投入する炭が、底まで到達するように棚板をずらします
また、炭が作品にぶつからないように、L字支柱を衝立(ついたて)代わりに配置します
1 窯床に籾殻を多めに敷き、その上に木炭を広げる
[窯詰めポイント]
籾殻がないときは、アルミナを敷きます
2 四隅の近くにサイコロ支柱を設置し、その上に棚板をずらして載せる
[窯詰めポイント]
手前左と奥右を開け、投入した炭がそこに落ちるようにします
3 棚板の真ん中に作品を詰め、その周囲をL型支柱4本、写真のように立てる
[窯詰めポイント]
手前左と右奥のL型支柱は外側に開き、そこに炭が入るようにします
4 L型支柱の上に、下段の棚板と同じようにずらした穴の開いた棚板を載せ、籾殻を敷いてから作品を詰める
※ここで使用した電気窯は「P13-PBE335K-1Z」
(株)誠興電機産業(0869-93-0398)製で、熱線が耐火ボードでカバーされているので、木材、炭、竹などを初めから詰めることができるうえに、焼成途中に蓋に開いている穴から投入もでき、いろいろな窯変を焼くことができる
5 上段作品の前左と奥右に、短いL型支柱を写真のように置く
6 内蓋を閉める
7 外蓋とその上に付いている5つの穴、それに下に付いている空気穴を閉める
8 焼成を開始し、900~1,100℃の間に、細い炭を3~5本、前左と奥右の穴から投入する
9 投入すると大きな炎が立つ
10 ある程度炎が収まったら、真ん中の穴だけ開けて周囲を閉める
これを数回繰り返す
11 焼成を終え、1,100℃まで下がったら蓋を開けて500℃まで下げ、その後蓋を閉める
[焼成ポイント]
定着した窯変が変化しないように、下げる温度の速度を速くします
12 穴に通した2本の葛と短めの葛3本を、細めの葛でしっかりと巻いて把手をつくる
葛はぬるま湯に一浸け、1時間ほど乾かしてから取り付ける
高木和安
1994年長崎県鷹島生まれ
70年伊万里に渚窯を築く
三越などで個展を多数開催
2005年誠文堂新光社から「日本の陶磁器をさや鉢焼成する はじめての電気窯焼成」を刊行
雑誌記事で使用されたのは電気窯は当社のP13-PEB335K-1Z
以下が2022年10月時点の価格です
P13-PEB335K-1Z 4SC 価格 860,000円(税抜本体)
C13-PFG555K-2Z 4SC 価格1,700,000円(税抜本体)
C13-PFG775K-2Z 4SC 価格2,700,000円(税抜本体)
誠興電機産業のホームページに
焼締還元電気炉の特徴いろいろと記載ありますので、一度ご覧ください