病室に入っていくとHさんとK子さんが

「すみません、すみません。お忙しい先生にここまで来ていただけまして本当に申し訳ありません。

今朝主治医から今夜が息子が生き延びれるかどうかの山ですと言われました。

主治医としては打てる手は
全てやりました。

後は彼の体力がどこまで持ちこたえられるかです。

もう最後は祈るしかありませんと言われて、

ハッとして藁わらにもすがる思いで、先生の会社にまで電話をしてしまいました。」


息子のB君は痩せ細って肩で息をして、

それも弱々しい虫の息と呼べるような、かすかな呼吸でした。

手や足は痛々しいほど白く透き通り、

主治医の言うように今夜が山だと私も感じました。

午後の回診に、看護師2人を連れて30歳を少し出た、若い小児科医が入ってきました。

沈痛なな顔の表情はB君の症状が最悪であるのを物語ってい
ました。

全員で主治医に軽く頭を下げると、重そうに口を開き

「医師団はあらゆる治療を行いましたが、

これ以上もできる手段はありません。

後はこの子の命を助けてくださいと神に祈るのみです。」


と言って、申し訳なさそうに頭を下げました。

私は、勇気をふるって
「先生は今祈るしかないと言われました。

私はおこがましいですが、
お祈りの専門家と自負しています。

この後は私たちにお任せいただけますか?

私たちがお呼びするまで病室に入るのはご遠慮いただけますか?」

「分りました。あなたにお任せします。私たちも祈ります。」
と、若い医師と看護師たちがうなずいて退室していきました。

私はベッドに横たわる、
小さな今にも消えそうな命に
どう向き合うか

心の中で模索しながら近づきB君の小さな手を握り話しかけ
ました

「B君よく頑張っているね。
これから僕とお父さん、
お母さんとおじいさん、
おばあさんの

5人で一生懸命お祈りをするので心配しないでね。もうひとがんばりしてね。」

と言うと、うっすら目を開けてくれました。

お腹には水が溜まり、食べ過ぎたときの倍ぐらいの高さに
なっていました。






真心のささやきを貴方へ❤️