令和5年8月10日




第195回目

憲法の生れる下地



馬子は自分の悩みを打ち明け
ました。


「私は大臣の地位に就かせて
いただいて常に歯がゆい思い
をしています。


私の本来の主旨が末端まで
伝わらないのがかなりの
頻度で起きています。


場合によっては私の意図と
全く逆のことが下の者に
伝わった例もあります。

つまり白と言ったのに黒と
伝えられています。


これをなくす為には上意が
下の者に正しく伝わる
決め事が必要だと感じて
います。」


推古帝も大きく頷いて

「朕も皇后時代に何度も
経験をしています。

何故このような誤った伝達が
行われるのか、

又これを正しく伝える方法は
あるのか、

太子はどのように
考えるておるのか又は正しい
伝達法があれば、

披歴してもらえまいか。」

聖徳太子は
「人は皆んな自分の都合の
良いように解釈をするのが
常です。

従って大小にかかわらず

文章化をして
上意下達も下意上達も
なされるような制度化を

すれば問題は解決できます。」


「なるほど尤もである。
ところで官史はほとんど
文字を読めるのであろうか。」

との帝の杞憂きゆうに対して
太子は

「ご心配はいりません、

文字が読めて文章を書ける者
を官人として登用致している
はずです。」


馬子は
「大陸の科挙の制度を参考に
しております。

これまでのところ、ヤマトの
国は大陸の文化文明を手本と
して来ましたが、

平和国家建設のためには
我が国独自の法のりを定める
必要があるとすればと


西方の異国の大帝国があり
羅馬(ローマ)と呼ぶそう
ですが、

そこに国家の根本法があって
それを憲法と呼んでいる
そうです。」







真心のささやきを貴方へ❤️