令和5年7月29日



第183回目


朝廷内の序列を定める意見

馬子は、かって自分の力に
なってくれた少年が
少し大人びていたが、

今は若き貴人の風格のある
厩戸皇子を好ましくも
頼もしくもある思いで皇子の
発言を待っていました。


皇子は大后と大臣とを均等に
見ながら

「私如き若輩者をお引き立て
頂き誠に有り難く、慎んで
御礼申し上げます。」

とご前にひれ伏して述べ
続いて


「私は蘇我家とは深い関係に
あって、先進の大陸、
朝鮮諸国より、

文物によって様々な学問、
知識、智慧が入って参ります。


先進の諸国には政治まつりごと
を行う者には、その役目、
果たすべき仕事、

それに関わる責任などが、
いくつもの階位に分けられて
いて、

これに基づいて整然と政務が
取り行われています。

我が国は皇族、豪族など、

力関係で成り立っている
ところがあります。

優れた官史がいても、
次の子達が優れているとは
限りません。

その際に、家柄、血縁などに
関係なく、能力を評価の
第一とし、

朝廷の機能の強化を図るべき
と思います。」



ここまで一気に発言して、
まだ言いたそうにして皇子は
口を閉じて2人の顔を見ました。


大后は合点がいったらしく
大きく頷いていましたが、

馬子は反対でもなく賛成でも
ない態度を取って黙って
いました。


大后の賛成の意志表示を得て
皇子は続いて


「朝廷内の秩序を確立する
には官位によって序列を定め、

制度を生かし機能させる
ためには、朝廷の上から下
までの官人(役人)が守る
べき規律も定めなければ
なりません。


階級を決め、定められた法を
遵守じゅんしゅしてこそ今までに
ない、

大和の国が立派な国家として
他国にも認められるように
なりましょう。」と。





真心のささやきを貴方へ❤️