令和5年7月14日



第168回目
戦さ神出現か?又は…。


蘇我、物部の両軍が膠着こうちゃく
状態になり、

睨み合いになって蘇我軍に
緩みが出たところを守屋は
見逃さず作戦通り

馬子の本陣に向かって
まっしぐらに突っ込んで
行きました。

馬子の旗本と皇子達は少し
小高い場所に陣取っていて、

まさかここまで突出して来る
とは予測していませんでした。


ふいを突かれた馬子側は
防戦一方になりました。


額田部皇后の長男竹田皇子は
年下の弟分である
厩戸皇子うまやどみこを庇かば
ながら必死に闘い、


重傷を負いながら物部軍を
追い払いました。

次期皇太子と目されていた
竹田皇子は、この戦闘で戦線
から離脱を余儀なくされ

この傷が禍わざわいして後に命を
落としてしまいました。

皇后の悲しみやいかばかりか
思いやられます。


物部軍の突出作戦が功を奏し
蘇我の大軍に綻ほころびが見え
始め、


馬子にも焦りの色が濃く
なって来ました。


馬子は寄せ手の奮闘もあって、

物部軍にも損害が出た上に、

館の守りの稲城は焼かれ
防柵も崩れて行きだんだんに

館の内側も見えるように
なりました。

そこで馬子は弓隊に守屋と
おぼしき者を的として矢を
放つように命じました。

しかし守屋は巧みに居場所を
変え、身の安全を計って
いました。

その戦況を見ていた
厩戸皇子は、このままでは
蘇我軍が退却せざるをえなく
なってしまうと見て、

馬子の造った仮本陣に入り、
沈思黙考ちんしもっこうをしていると
白い霧の中から神霊が
出現されて、

「神と仏を両立させれば
大和の国は栄える。

物部を鎮めよ。手立ては
霊木をもって像を作り、

汝の頭髪を束にして像と共に
前頭に固定して戦場に臨めば
良果となる。」

と伝えて再び霧の中に消え
去りました。









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