5月28日 薄い朝霞







ペチュニア





大仏開眼だいぶつかいげんの大仕事
が終わった後は

平城宮域は平穏な空気が
流れていました。

聖武太上天皇様は勿論の
こと皇太后様、
孝謙天皇様の御三方は
特にほっとされていました。


そんな時、皇太后様が
内裏だいりを訪れるという
前ぶれが届きました。



孝謙様は大変喜ばれて
「お母様は何のご用かしら、
このところ忙しくてお顔を
拝見するぐらいの
短い間だけお会いして、

すぐさようならでしょう。」


つまらなかったと言いたい
ところを我慢なさって同意
を求められました。


「そうですね、たまに
はごゆっくりとお話など
なさりたいですよね。

今日あたりは特別なご用向
きではないような気が
致します。」と

申し上げると孝謙様は
ぱっと顔を明るくされて


「広虫のいう通りならいいね、
私も積もる話しが沢山あって
どうしてもお目に掛かり
たかったのよ。

表向きの政治は仲麻呂
(恵美押勝)がお母様
と相談しながら良いようにやってくれてはいますが

内部のことは特に高位の
官僚達の事は朕ちん
皇太后で決めていかなければ
ならないでしょう。


広虫の知恵もずい分と役には
立っているが最後の一押しは 皇太后の判断一つだからね。」



女官の「皇太后様の成り」
の奏上があって 

光明皇太后様が微笑みを
たたえながら

華やかに孝謙様の前に
お立ちになりました。


「お上、ご機嫌麗しく
あらせられますな、
内裏のおさまり具合は
如何と気にしておりましたが、やっと来れました。」

と孝謙様は会釈をして立ち
上がり、ご自分の玉座に
皇太后様を座らせて、
その膝に顔を伏せ

「母上様お会いしとう
ございました。

お話ししたい事が山ほど
ありますの。」

私は女官達を全員さがらせて
人目に付かない所に控えて
いました。


孝謙様は少女に帰ったように
母に甘え他愛もない訴えを
繰り返していました。


私の中には不安が
どんどん
増幅して皇太后様が
おかくれになったら、

孝謙様はどうなってしまう
のだろうと恐くなって
来ました。



真心のささやきを貴方へ❤️






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