5月25日






さくら草🌸




弟の清麻呂は宮廷の護衛の
任に付き、

その精勤ぶりを評価されて
少しづつ階段を上り始め
ました。


孝謙様に自然な形で引き
合わせたいと

思っていた
ところ意外な形でお目に
かかることになりました。


内侍司ないじのつかさ所管の膳部
でちょっとした小火ぼやが🔥
ありました。

その時の警護の責任者が
清麻呂でした。

ボヤを消し止めた後の

点検と被害状況と修理の
打ち合わせをしている
ところに

孝謙様がひょっこりと顔
をお出しになり、

「広虫火事があったそうだが
大事には至らなかったか?」

とお声をかけて下さいました。

偶然の出会いにしろ天皇様
との遭遇ですから

清麻呂は堅くなって頭を
下げていました。


私は今が絶好の機会とばかり


「お上、ここに控えて
いますのは弟の清麻呂で
ございます。

小火ぼやの後始末に責任者と
して来ております。

こんな機会ではありますが
以後お見知りおきを
お願い申し上げます。」


と申し上げたら、お上が

「おゝ清麻呂であるか、
大義である、お役目ご苦労、
顔を上げなさい。」


と声をかけて下さいました。


弟は恐る恐る顔を上げて
目を伏せていました。

お上は「なかなか凛々しい
のう、
兵衛としての勤めよくよく
頼みおくぞ。」


弟は硬く低頭して
『ははぁ恐れ入り奉ります。」
とのみ言って持ち場に
戻って行きました。


私が最も気になっていたの

は聖武上皇様宿願の
盧舎那仏の完成です。


毎日朝夕に無事に完成する
よう神仏にお祈りをして
います。

祈りは万物を貫く
強い力があると母から
ずっと言われていて、

都に上る際に第一に行う
べきことをお祈りすると
決めていました。

平城京の盧舎那仏造立に
着工してからは朝な夕なに
祈り続けています。

時々は紫微中台の神前に

孝謙様と共にお参りをして
誰にも邪魔されずに

お祈りを重ねています。


真心のささやきを貴方へ❤️





献花三題