12月12日   曇天の夜明け



葉牡丹は元気




プロローグ 


「この物語はアフターコロナに新しい世界を作る主役、女性に捧げる応援歌です。

スーパーヒロイン、キクシをメインとして日本の歴史を辿って行きます。日本女性の素晴らしさの原点を探ります」





金さんは頭目を置き去りに
するような集団は、

大した群れではないと見当
を付けて輩下の者に阿彦人
(あひこと)を追わせて、

ねぐらを突き止めさせて
いました。


その後ろに何を思ったのか
阪弥(さかね)さんが
ひっそりと見え隠れしながら
追って行きました。



姫川の川沿いを上流に
向かって3人が等間隔で歩いて
行っていると思うと

阪弥さんは急におかしく
なって一人で笑ってしまい
ました。


姫川が直進と右手に分かれる
二股に来たところで

阿彦人は右におれて川沿いに
昇って行きそこで振り返って
金さんの部下に

「ついて来ているのは
分かっている。

わしは顔に負傷をしている、
何もせんから一緒に来い。」


と声をかけて彼が追い付く
のを待って共に歩き始め
ました。

阪弥さんは、そのやり取りを
見ていて、

この阿彦人という人物は、

只者ではないと感じ、

用心深く二人のあとを追い
ました。

しばらく二人の男は無言で
黙々と歩き、

姫川の支流沿いの道がなく
なって山手の方へと入って
行くと、

前方に集落らしき粗末な
小屋の点在しているのが見え、

村の入り口のところに数人の
男女が集まって二人の男を
見て訝(いぶか)しげに、

なにやら小声で話して
いました。


阪弥さんは、
二人がどんな話しをして
いるのか気になりましたが、

さっき自分達を襲った人達が
どの様な群れなのか知ろうと
村の入り口には向かわず

裏手の山の方に回りそこから
集落を観察していました。



すると目の前のそう広くない屋根だけしかない集会場に十数人が集まり、


帰って来た頭目と
ヤマトの兵士をかこみ、
口々に何やら意見を言い
始めたところに、


この村の最高齢と思われる
巫女が現れて全員に鎮まる
よう張りのある凛とした声
で言うと静かになり、


おもむろに

「今回のやり方はよからずと
思っている、

いきなり襲ったと聞いたが
それは野盗のやること、

話し合いをして後どうするか
決めるべきではないか、
阿彦人よ。」


「はいその通りでございます。

私の統率の手落ちで
無様(ぶざま)な格好に
なって申し訳ありません。


不名誉な怪我を致しました
のもお詫び申し上げます。」


阪弥さんは彼等のやり取りを
見ながら野盗達ではないと
はっきり分かりました。


阪祢さんは
そこで急いで立ち帰り、
甘夫人にそのことを伝えると

「では私が巫女様に会いに
行きましょう」と、甘夫人は

金さんを説得して部落に
乗り込んで行くことに
しました。



真心のささやきを貴女へ❤️




午後 夕焼け  夜景


和氣先生との対話もご覧になって下さい↓