11月3日 雨上がりの朝 安芸の小富士







キクシ
「スメラ様にはご機嫌麗しく
祝着に存じます。

この度は、いろは48神の解明

をして下さり、心より感謝
申し上げます。

いろは48神は、

これから大いに活用させて
頂き、

ヤマトの国の安定と

平和に貢献させていただき
ます。」



スメラ様
「私の方こそ良い機会を得て、

いくつかの難問も解決できた
上に
総合的にいろは48神を統合

できたのは大収穫でした。

ところでキクシがここに来た

のは別の用件ではない
ですか?」



キクシ
「お見通し恐れ入りました

百済(くだら)に居ます
ヤマト國の印綬拝受で
お世話になった

例の張さんから、
たってのお願い
が来ています。

どうやら朝鮮半島は、
三つの国に分かれて争い
が起きているようで御座い
ます。」



スメラ様
「今までの馬韓、辰韓(しん
かん)弁韓はどうなったの
でしょう。

新しい国が立ち上がったの
でしょうか。」



キクシ
「馬韓は百済となったと聞い
ていますが詳しいことは
分かりません。

張さんが申されるにはヤマト
は48の国に分かれていたのに

スメラ様のお力で一つの連合国家になった

今では、平和が続いている
民達は幸せそうな日々を
送っていると聞いて、

どうしてもヤマトに行って
直接自分の目で見てスメラ様

に一目でもよいからお目に

かかりたいと伝えて来ています。



スメラ様のご意向を伺って
お返事をしようと思い参上
致しました。」



スメラ様
「張さんは魏(ぎ)の皇帝
から印綬を頂く際に大変な
お力添えをして下さった
お方でしたね。

そのお蔭でヤマトは平和
になりましたからお礼を

申し上げたいし、お会いする
のは喜んで致します。」



キクシ
「実は張さんはすでにヤマト
に来ておられます。


私を補佐してくださっている
金さんは張さんの元部下
でした。

今は百済の国の重要な地位に
就ておられるようです。」



スメラ様
「早速お会いしましょう。

明日の午後に迎えの者を
さしむけます

建王子が良いでしょう。

あちらでは随分とお世話に
なったようですから明日は

讃王様も呼んでおきます。」



キクシ
「ご快諾頂き有難う御座います。スメラ様のお言葉をそのまま
張さんに伝えます。

さぞかしお喜びのことだと
思います。


このところ、はなちゃんと
お話しする機会がなかった

のでこの足で会っても
よろしいでしょうか?」

キクシはスメラ様の許しを
得て久しぶりにはなちゃんに
会ってこれからのことも
含めて話しをしようと、

はなちゃんの詰め所を訪れ
ました。



キクシははなちゃんが丁度
神前を整えるのでこちらに

背を向けていたのを幸いと思い、そこに近づいて

「花ちゃんお元気」

と声をかけました。

鳩が豆鉄砲をくらったような、ビックリした表情と突然訪れた喜びが同時に爆発して、

花ちゃんがキクシにしがみつきました。

キクシは花ちゃんの背中を

愛おしそうにさすりながら

「なかなか会えなかったわね!

こうしてスメラ様のお許しを得て花ちゃんに会えて嬉しい。」


花ちゃんも嬉しい嬉しいと
言葉にならないようにつぶや
いて、

暫くは離れませんでした。
二人の感情が落ち着いた
ところで、キクシが

「花ちゃんとゆっくりお話し
がしたかったのよ。

花ちゃん
がスメラ様にお仕えし、

神仕え人としてどくらい成長
したのだろうと楽しみにして
いました。

どんな修業をしているのか私
にお話ししてくれない!
とお話ししたかったのよ。」


花ちゃん
「はい、私が今あるのはキクシ様のお蔭でです。

なによりもキクシ様が大好き
で毎日のようにお顔を
思い出しています。

お姿を見かけると
胸がドキドキして立って
いられないくらいなのです。

私って変ですか?」


キクシはやっと花ちゃんの
体を引き離し右手で花ちゃん
の左手を握りながら

「ちっとも変じゃないと
思うわ、私も花ちゃんが
大好きよ。」


花ちゃん少し目を手に落として

「修業は神事の練訓とスメラ様をお守りする武道をして
います。」



キクシ
「武道って剣とか弓矢とか?」



花ちゃん
「はい、弓矢と鎌槍(かま
やり)です。

私は小さい頃からお転婆で
木に昇ったり枝に飛びついて
遊んでいました

だから武術の
ようなものは本格的にやって
みたいと思っていました。


時々武王子様に教えていただいています。キクシ様の武勇伝も
聞いています。


ずっとキクシ様のようになり
たいと憧れていました。

ですから武術はとても楽しい
です。

もし戦(いくさ)があれば
是非私をお供に加えて下さい。

お願いします。」


キクシは草花とお話しが
できる可愛い少女が逞しい
女丈夫になっていると

驚きを隠せませんでした。


真心のささやきを貴方へ❤️


早朝の残月

和氣先生との対話もご覧になって下さい↓