都市部の不動産であれば比較的、不動産価格の査定はしやすいです。

取引事例が多くなるからです。

マンションであれば、査定は机上でも十分な場合がでてきます。

 

戸建ての場合、元が建売だった物件であれば、価格は査定者によって大きく変わることは少ないと思います。

事件や事故、使用方法、近隣環境での差はでます。

 

これが田舎になると、査定方法がかなり変わってきます。

まず、田舎の場合、マンションは少ないです。

たまに東北地方等で田んぼの真ん中に、40階建てのマンションがあったりますが、通常は戸建てがメインになります。

 

戸建てとなると、多くが注文住宅になってきます。

すると、各々の物件がまるで違ってきます。

同じ家がない、査定価格は変わりやすくなります。

 

田舎で売却する気はないが、価格だけ知りたいと思う人もいます。

とても迷惑です。

特に、詳細を知らせずに、異常なまでに「現地に来てくれ」という人です。

現地を見れば分かる、と思っているためです。

 

昭和50年より以前の不動産業者であれば、いきなり現地でも良かったかもしれません。多くの法律が無い時代だったので、見た目だけで十分というケースも多々あったと思います。

 

しかし、今は違います。

地域に関係なく、多くの調査が必須となっています。

その調査内容は、目視で分かるものは殆どありません。

 

現地に法令上の調査内容が表示されているのであれば、いきなり現地で構いませんが、今は存在していません。

 

現地を見ただけで、あらゆる情報を瞬時に知ることができる人がいるとすれば、神でしょう。

 

現地に行く前に、色々と調査をしないといけません。

権利関係、法令上の調査、土地の履歴、今であれば物理的な危険性についても必要になりました。

ある程度の調査をしてから、現地で確認する内容が出てきます。

これで現地調査開始です。

 

「土地を見てくれ、家を見てくれ、いいだろう」。

この考えは、否定します。

何が、どういいのか、本人の自己満足のみです。

 

プロの業者で一定以上の経験を積んでいる人であれば、現地には重説レベルの調査を終えてから行くでしょう。最後の確認事項のために、現地にいきます。

何度も現地に行くことはしません。

時間と費用、労力のムダになるからです。

 

今は航空写真でも分かる時代です。

すさまじい田舎であれば無理ですが、多くはストリートビューでも見ることができます。撮影年月の誤差はありますが、参考になります。

 

一切の書類もない状態で、土地、家だけを見ても意味がありません。

内部の状態が問題になるからです。

表面だけを見て価格を出す人の場合、後悔することがあります。

 

売ろうと考える場合、売る人の責任があります。

最低限の資料は用意すべきです。

知らない、は通用しません。

知らないなら、学べばよいだけです。

 

今は色々と知ることができる時代です。

素人だから、知らなかった、は通用しないことが増えています。

 

まず、自分で調べることです。

調べたうえで、これ以上は無理だから依頼するのであれば、喜んで引き受けます。調査内容の意味が理解できる人でないと、依頼を受けようと思わない場合もあります。

 

特に、明らかな田舎の場合です。

需要が無い地域の場合、依頼を受けない業者も多数います。

当然です。

仕事にならないどころか、損害になる可能性が高くなるからです。

 

そのような業者側にとってリスクが高い物件に、未調査でいきなり現地に行く人は少ないと思います。いないわけではありませんが、未調査で行くレベルなので、調査内容に問題が出やすいと思います。

 

売ることを検討している人の場合、ある程度は共通した内容があります。

その資料は、売主であれば取得しやすい物が多いです。

例としては、固定資産税評価証明書等です。

業者であれば、委任状が必要ですが、本人であれば堂々と取得できます。

 

建物がある場合は、建築確認関係書類です。

ある場合と無い場合では、大きく変わることがあります。

 

権利証(識別情報)、本人が確認できる免許証等も必須です。

その他の資料があれば、あるほど良いです。

 

土砂災害警戒区域など、何らかの条件が付いている場合があれば、告知したほうが良いです。今は指定されていなくても、指定予定地の場合もあります。

 

境界が分かる資料も必要です。

境界に問題があるのか、ないのか。

残置物の有無、土壌汚染等も隠すべきではありません。

 

当然、事件・事故も重要です。

その事件や事故が売却理由の場合もあります。

離婚は当然のように売却理由にでてきます。

多くは築浅物件です。

古い物件の場合は相続関係が多いです。

 

共有者がいるのか、いないのか。

単独であれば、本人単独で売る、貸すが可能です。

しかし、共有の場合は売るのであれば、共有者全員の合意が必須です。

 

未調査で現地に行き、そこで共有であると知った場合、ムダになりやすいです。他の共有者に売る気が無い場合、揉めている場合、売却不能になるためです。

 

義務教育で習っていないから、知らなくて当然だ、という考えの人もいます。

私は否定します。

実社会では、教えてもらうではなく、自ら進んで学んで当然だからです。

 

素人だから、を錦の御旗にはできません。

所有者には物件の責任が必然的に発生します。

それも今の法律に合わせないといけない、ようになっています。

 

特に個別性が強い田舎の不動産の場合、価格が出るかどうか怪しい場合もあります。いくらで売れるか、以前の問題です。

来年以降になると、維持管理費用を国に納付することで、引き取ってもらうことができる場合があります。

国に売る、買い取ってもらうのではありません。

費用を支払って、引き取ってもらう、のです。

それも色々な条件付きです。

 

単に物件を見ること、雑な価格査定をすることが趣味の人であれば、気楽に来てくれると思います。

しかし、業としているプロであれば、行くまでもない物件に労力を使うことはあり得ません。

 

これからの田舎の物件は、絶対的な人口減少に加え、ボロ物件が大量に放出されてきます。売れるだけマシ、となる可能性が高くなります。

都市部も他人事ではありません。

今は重宝されている大型物件でも、何らかの状況の変化によっては巨大な産廃となる可能性もあります。

 

巨大災害は生じたとき、物件の価値は激変します。

都心のタワーマンションの場合、今は価値が非常に高いとされています。

しかし、大災害が発生した場合、一気に価値が変わります。

北朝鮮のタワーマンションと同じになる可能性がでてきます。

 

ライフラインが不自由になり、高層階ほど悔やむことになる可能性も検討すべきと思います。

自立できる地域であれば、価値が向上する場合もあり得ます。

しかし、元々田舎過ぎる場所の場合、見向きもされない可能性があります。

 

今の価値と、これからの価値は異なることがあります。

むしろ維持できるほうが少ないと思われます。

 

公共事業等で建築する居住用物件については、見直すべきと思います。

すでに大量に発生しつつある既存物件を活用するほうが良いと私は考えます。

市町村営、都道府県営、そして国営住宅として既存物件を活用すべきと思います。

 

一時使用の仮設住宅の設置、解体費用の発生、居住者の追い出し、をするよりも既存物件を公営化することで、色々とメリットがでてきます。

 

公に引き取ってもらう場合でも、所有者の責任はあります。

その責任の一つが、物件の内容です。

所有者が知っておかないといけない法令上の内容もあります。

 

いつか物件の現地に、行けば分かる、というような表示方法も実現されるかもしれません。そうなると、現地に行けば全てわかるので、いきなり行くことも可能になります。

 

まだ、そのような状態ではありません。

専用のAIもできるかもしれませんが、今はありません。

ネット上に無い情報の場合、人間が自力で調べるしかありません。

 

不動産の所有者、売ろうと考える人は、まず自分で可能な限りの調査をしておくべきです。自分で調べ、おおよその問題を把握しておけば、価格を提示されたときに意味が分かりやすくなると思います。