食糧危機により、デモ隊が警察官に暴行を加え、政治家の家を焼き払って多数の死者が出る事態になったスリランカ/イラン、イラクでも激しい暴動
 

5月14日【ZeroHedge】リンク

 

2ヶ月前、食料やエネルギー(その他あらゆる物価)の価格高騰の結果、数千人の怒れるイラク人が抗議活動を行った際、私たちはそれを「アラブの春2.0」の最初の事件として報道していた。

 

(グラフ:世界の食料の価格の推移、1990年~2022年)

 

イラク市民らの訴えはあまり支持されなかったのはいうまでもない。一方、食糧価格は爆発的に上昇し2011年の食糧価格に対する暴動で中東のほとんどの政治体制が崩壊した時のレベルをはるかに超えて、今も過去最高を記録し続けている(CIAの後ろ盾もその一因)。

 

木曜日にはイランで抗議デモが起こり、少なくとも22人が逮捕された。政府が食料への補助金を削減したために物価が急騰し、当局は今後数週間のうちにさらなる騒動が起こることを予想している、とFox ニュースは伝えている。

 

SNSに投稿された動画からは、デモ参加者がイラン南西部ケゼスタン州の二か所で行進し、「ハメネイに死を!ライシに死を!」と唱えていることがわかる。これはイランのエブラヒム・ライシ大統領が雇用の創出や制裁解除、経済救済を約束したことを指している。

 

 

 

 

イラン国営メディアはこの抗議行動について公に取り上げていないが、反対派組織であるイラン国民抵抗評議会(NCRI)がこれを取り上げていた。NCRIが共有した映像には、抗議者たちがバシジ軍基地に放火している様子が映されていた。

 

 

 

 

「イランでは、たびたびこのような抗議デモが行われています。毎回、卵やガス、パンの価格などそれぞれの異なる理由で行われていますが、デモのスローガンの根底にあるメッセージは、毎回同じです」イランの専門家でForeign Deskの編集長であるLisa Daftari氏による解説。

 

「抗議活動は首都テヘランだけでなく、他の都市や農村部など広大で多様なイラン人全体が国中で行われています」

 

 

そしてイランやイラクだけでなく、スリランカでも、食料を含む生活物資の価格高騰に怒ったデモ隊が38人の政治家の家を焼き払った。危機に陥ったスリランカはさらに混乱し、政府は軍隊に「(抗議活動をしようとする者は)見つけ次第撃て」と命令している。

 

スリランカの警察は、1948年以来最悪の経済危機に対する政府の対応が誤ったものだと抗議し、怒ったスリランカ人は全国的な外出禁止令を無視し続けている。結果、これまでに破壊された家屋に加え、さらに75棟が破壊されたと発表。

 

 

 

 

ツイート:「スリランカで現地のエコロジー運動により、ESG有機農業の信念が法律として施行された後の暴動。収穫が不作となり、食糧不足に。市民は警察官を殴りつけ、政治家の住宅に火を放つ。これを繰り返さないためにも、ESGは避けよう」5月12日

 

 

 

 

(画像:すべて上記のツイート動画より)

 

 

月曜日から少なくとも9人が死亡したことを受け(CNNのリンク)、国防省は火曜日、国有財産の損壊や公務員への暴行を発見した者は射殺するよう軍に命じた。結果、200人以上が負傷している。

 

(画像:スリランカで暴徒化する市民たちの動画より)

 

スリランカの2200万人の国民は壊滅的な経済危機に直面しており、日用品の価格が高騰し、数週間にわたり広範囲で電力不足が続いている。3月以降、数千人の反政府デモ隊が街頭に立ち、政府の辞任を要求していた。

 

(5月10日、首相政権室近くでの抗議活動の様子、CNN)

 

ラジャパクサ首相が、親政府と反政府のデモ隊の衝突により辞任した数時間後、軍は同首相を救出することになった。デモ隊が首相の私邸に夜間に2度侵入しようとしたため、軍が出動していた(CNN)。

 

棒で武装した政府支持者が首都の数カ所でデモ参加者を殴打し、テントを壊して燃やしている様子が月曜日に生中継された後、ラジャパクサ氏が辞任することになった。暴動の中、全国で数十軒の家屋が放火されたと目撃者は言う(CNN)。

 

 (画像:抗議活動で放火された家屋、Yahooニュース)

 

 

ツイート:「ガレ・フェイスへの食糧供給をスリランカ軍が阻止。【動画】」

 

 

デモ隊を解散させるために武装した軍隊が投入され、ビデオ映像では警察が催涙ガスや放水銃を発射している様子が映し出された。(CNNの現地取材班)夜間外出禁止令と首相の辞任で、ますます不安定になる同国の情勢が落ち着くかどうかは、依然として不透明だ。

 

多くのデモ参加者の最終的な目的は、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(首相の弟)を退陣に追い込むことだと言うが、今のところその兆候はないようだ。

 

(5月10日、首相官邸近くで抗議活動の市民がバスに放火、CNN)

 

 

(翻訳ここまで)

 

 

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【コメント】

 

コロナ禍で経済状況、特に物価の深刻な値上がりが進行していましたが、さらにウクライナ戦争や対ロシア経済制裁などでさらに悪化し、各国で市民の不安や不満が溜まっています。

 

また記事にある「アラブの春2.0」とは、ウクライナ戦争開始直後から中近東の多くの国で起きていた様々な情勢の不安定をまとめた言葉でしょう。

 

イランやイラク、スリランカではもう市民の我慢の限界に来ていたようで、暴動が連続して起きていますが、ここまで大規模ではなくても、こういった抗議活動は世界各地で起き始めています。

 

ちなみにスリランカの暴動では、政治家に石を投げつけている市民の姿もΣ(゚Д゚)。

 

欧米でも食糧や燃料など日常品のインフレが激しく、将来の生活への不安は強まる一方。

 

 

 

(グラフ:小麦の価格の推移、2020年~2020年、リンク

 

 

本文中に貼り付けたスリランカの暴動の動画には、「ハンガーゲームが始まった」とコメントされていましたが、世界的なハンガーゲームが実際、始まっているのかもしれません。