日射に当たるだけでインフルエンザから身を守ることができる理由とは
Getting More Sun Could Protect You from the Flu — Here’s Why

 

2018年 【healthline】https://www.healthline.com/health-news/getting-more-sun-could-protect-you-from-flu

 

 

インフルエンザの季節でも、日光を浴びることで健康を維持する助けとなる?

 

それを証明する証拠を、科学者らが発見しています。

 

全米経済研究所が配布した新しい調査報告書は、日射量レベルが高いほどインフルエンザの流行が抑えられることを明らかにしました。

 

この論文の著者は、2つの主要な正基準標本を用いることで、相対的な日射量レベルとインフルエンザの発生率との関係を調べました。 

 

48の州が連なる本土およびコロンビア特別区を含む北米土地データ同化システムによる日射量のデータを掘り下げたのです。

 

また、米国疾病対策予防センター(CDC)が発表したインフルエンザ指標も調査しました。 この指標は、州の保健部門からのデータを集計し、集計データを10段階評価に調整したものです。 

 

「日射量の相対的水準が高いほど、インフルエンザの相対的水準が低くなることがわかりました」と、この論文の筆頭著者で、カンザス大学の経済学の助教授であるデイビッド・スラスキー博士は当healthline誌に話してくれました。

 

たとえば、9月の日射量レベルが例年よりも10%高い場合、同じ月のインフルエンザ指数が3ポイント低下する、ということが判明したのです。

 

日射量とインフルエンザのレベルの関係は、夏の終わりから秋の初めにかけて特に強い傾向がみられたと、スラスキー博士はいいます。この時期は、インフルエンザの流行具合と日射量レベルの両方が十分に高く、研究者がリンクを探すことができる年に唯一の期間になります。

 

 

「夏の終わりには、まだ大量の日射量がある可能性がありますので、(年によって)異なる場合がありえます。さらに国内でのインフルエンザの流行が始まりかけていることも見ることができるため、このテーマについて必要なだけのインフルエンザの活動もあるのです」

 

それと比べ、日射の強い真夏の間には、浴びる日射量とインフルエンザ感染の強固な関連性をデータから確認するためにインフルエンザの活動が十分にありません。

 

また、12月にはインフルエンザの活動が多いものの、この二つの関連性を確認するために必要な日射量が不足しています。

 

 

インフルエンザから身を守る可能性を秘めたビタミンD

 

ビタミンDとインフルエンザのリスクを関連付ける研究は増加し続けていますが、この研究はそういった研究に貢献しています。

 

日光の紫外線が素肌に当たると、体内でビタミンDの産生を起こします。

 

特定の食品からビタミンDを摂取することも可能ですが、この必須栄養素を食事だけで十分に摂取することは難しいため、研究者はサプリメントの有用性を調査しています。

 

この数十年の間、インフルエンザやその他の急性気道感染症のリスクに対するビタミンD補給の潜在的な影響を研究しているチームがいくつか存在しています。

 

昨年BMJで公開された記事で、研究者らは、この件に関するランダム化比較試験を通じて収集された個々の参加者データのメタ分析の結果を報告したものがあります。

 

「11,000人弱の患者を対象にした25件の臨床試験において、ビタミンD補給による急性気道感染の、控えめだが統計的に有意な減少を示した」と、メタ分析の主執筆者でバーツ教授、およびロンドン医科歯科大学は当誌に答えました。 

 

バーツ教授:「全体的にはささやかな効果が確認できただけです。しかしさらに詳しく調査し、最初の段階でビタミンDレベルの低めな被験者に毎日、または毎週にサプリメントを与えた際の効果だけを見た場合、その効果はかなり大きなものになりました」

 

ビタミンDの基準値が低い状態から始めた人が、毎日または毎週、ビタミンDサプリメントを摂取した場合、急性呼吸器感染症にかかる可能性が約半分となったのです。

 

それに比べ、元からビタミンD基準値が高めであった人の場合では、ビタミンD補給によって得られた保護効果は低めでした。

 

 

日光を浴びる場合の適切なバランスを見つけることが重要

 

しかし日光を浴びすぎた場合には、皮膚のダメージのリスクとなり、また皮膚がんになるリスクが高くなります(訳注:この点については、過去記事「日光ではなく日焼け止めが皮膚がんの原因であることを示す最近の研究」で反証しています) 

 

一方で、浴びる日射量が少なすぎる場合は、ビタミンD不足になるリスクが高くなります。

 

皮膚がんのリスクを高めることなく、インフルエンザやその他の感染症を削減することができる公衆衛生の取り組みを導くためには、日光を浴びることとビタミンDに関するさらなる研究が必要だと、当誌に対しスラスキー博士は見解を述べています。

 

スラスキー博士:「サプリと日光の両方で、ビタミンDレベルを上げる必要があると多くの医師が主張しています」

 

「日光にもう少し当たることで、リスクよりも効能の方が高くなる基準点があります」

 

「公衆衛生の役割の一つは、その(リスクと効能の)バランスを見つけることだと私は考えています」

 

 

十分なビタミンD摂取のためにどれだけ日光を浴びる必要がある?

 

十分なビタミンDを摂取するために外で過ごす必要となる時間は、人によって異なることにご注意ください。 必要な時間は、住んでいる場所や時期、天気、肌の色調など、さまざまな要因に依存するからです。 

 

赤道から遠く離れた場所に住んでいる人ほど、浴びる日射量が少なくなる傾向があり、ビタミンD欠乏症のリスクが高くなります。

 

皮膚色素のメラニンは紫外線を遮断するため、黒人系の人たちやその他の皮膚の色が濃い人はリスクが高くなります。

 

ご自身がビタミンDを十分に摂取できているか心配な方は、医師にご相談ください。

 

野外で過ごす時間を増やし、ビタミンDサプリメントを摂取することを推奨される場合もあるでしょう。

 

 

感染症から身を守るそれ以外の方法

 

ビタミンDレベル以外にも、インフルエンザなどの感染症から身を守る方法はいくつかあります。
米国保健省疾病センター(CDC)は、

 

ワクチンを受けること(訳注:このCDCは様々なワクチンの認可に携わっているので当然の「推奨」ですが、この点については各人でご判断ください)、

定期的に手を洗い、

最も感染力の強い時期の感染者との接触を避けることを推奨しています。

 

 


(翻訳終了)

 

 

*******************************************

 

【コメント】

 

一般的にインフルエンザなどの多くの感染症は、冬に増加し、春~秋にかけては減少していく傾向があります。

 

 

 

(グラフ:アメリカの外患部門にインフルエンザ風疾患で診察を受けた人の数。

下のWeekは年の初めからの週数を表す)

 

 

これを見ると、インフルエンザ風疾患になる人の数は年末・年始頃がピークになることが多いことがわかります。

 

数年前にビタミンD信者になってから日射量を意識して国内外の傾向を観察していましたが、イギリスでの傾向も非常に似たものではないかと思います。

 

そしてこの患者数のピークは、日射量が一番弱まる冬至に重なっています

 

一年で一番気温が下がるのは2月ですが、この頃には気温は低くとも日射量はだいぶ回復しています。この頃になると、感染症の流行が目に見えて減少している傾向があるようです。

 

 

日本語も含めたいくつかの関連する資料を見ていましたが、冬に感染症が多いのは「温度」のせいだとされている情報が多くみられました。

 

たしかに体温が下がると免疫も弱くなりますので、冬全体で感染症が増加する傾向がある理由の一つではあるかと思います。

しかし「日射量(とそれによって生成されるビタミンD量)」も感染症流行に影響を与えると考えた場合、上記のグラフはさらにぴったりと呼応するように思われます。

 

また「日の国」の日本に住んでいた頃は、冬至でもそこそこ明るいので、あまり日射量など意識さえしたこともありませんでしたが、緯度の高いイギリスの冬至前後は本当にどんより暗い日になります。太陽が出ていても地平線に近く、暗く、出ている時間が短いのです。

 

そしてちょうどこの頃、毎年のように様々な感染症が大流行します。

 

 

★紫外線の殺菌効果

 

日光がウィルスなどの感染症から身を守るのは、体内で生成されるビタミンDだけではないかもしれません。

 

 

 

 

https://verilux.com/pages/uvc-light-uv-light-sanitizers

 

 

これは太陽光のスペクトラムを表したものです。

右の赤い部分は赤外線、左の紫の部分は紫外線になります。

 

そして一番左のUV-Cというタイプの紫外線にはウィルスにも有効な強力な殺菌効果が最大となっていることで知られており、現在では殺菌線として病院などの殺菌にも使われています。

 

こちらはアメリカの病院で実際に使用されている紫外線を用いた殺菌デバイスです。

 

https://www.spokesman.com/stories/2018/mar/25/bend-hospital-using-ultraviolet-light-to-kill-germ/

 

 

(過去に私自身、公衆衛生関係の仕事をしたことがあります。

 

厳重な衛生管理を必要とする様々な場所に行きましたが、病院としては手術中のオペ室に厳重な除菌対策をした上でそっと入り、室内の床などからサンプルを採取して、会社に持ち帰って調査したこともあります。

 

さすがに病院は他の場所よりは断然きれいでしたが、それでもやぱり100%無菌、ということはありませんでした。薬品を用いた殺菌にも限界があり、別の問題を起こす場合もありますので、その点でこのデバイスは特に病院では利点も多いのではないかと思われます。)

 

 

https://www.livescience.com/61712-airborne-flu-disinfection-uv-light.html

(Image: © David Welch, et al./Scientific Reports)

 

 

上記の画像は、「この特別なUV電灯に空中のインフルエンザウィルスを死滅させる可能性(英語)」という科学誌の記事にあったものです。

 

「これらの画像は、インフルエンザに感染した細胞を示したものです。

インフルエンザウィルスに感染した細胞に紫外線C波を照射し、その強さを増していったところ、ウィルスが死滅したことがわかります。

感染した細胞は緑で、感染していない細胞は青色で示されています」

 

 

 

「この新しい研究では、試験室内に、人間の咳や呼吸から発せられる状態を模倣した方法でH1N1型インフルエンザウィルスを空中に散布させ、その後、 少しの遠紫外線far UV)を照射させたところ、従来型の殺菌用紫外線C波電灯と同程度の殺菌効果があることが明らかになりました。

 

紫外線C波照射を受けた空中を浮遊するインフルエンザウィルスを皮膚細胞に接触させたところ、このウィルスは皮膚細胞に感染することができませんでした」(一部抄訳)

 

ただ、遠紫外線は人間の細胞に損傷を与え、また大部分はオゾン層で遮断されています。
 
 
 
・紫外線A波にも殺菌効果が期待されている
 
一方、地表に届く全紫外線すべての95%を占める紫外線A波(UV-A)は、最近までは殺菌効果がないと考えられていましたが、殺菌効果が認められ始めているようです。(徳島大,LEDによる殺菌メカニズムを解明」2017年12月など)
 
どうやら日光は、温度だけでなく、その光だけでも体の内外から守ってくれる可能性がある、ということです。
 
 
 
これは2月11日現在の記事で、新型コロナウィルス( COVID-19)感染が確認された人の数を表した地図です。
 
 
オーストラリアの例外を除いては、今は夏の南半球では全体的に感染者が少ない傾向があるようです。(それ以外にも当然、感染者の移動量という要因も大きいかとは思いますが)
 
 
しかしこの新型コロナウィルスについては、春になると流行が収まると考えている専門家もいれば、まったく見当がつかないという専門家もおり、現時点では意見はわかれているようです
 
 
ただこれがウィルスである以上、日射量の増加に伴い、感染の勢いが抑えられる可能性に期待しています。


 

 

ビタミンDに関する記事一覧

 

日焼け止めに関する記事一覧