世界中の怒る市民たちも参加:世界に広がるイエローベスト運動
Yellow vests go global as protest movements around the world adopt it

 

https://www.trtworld.com/europe/yellow-vests-go-global-as-protest-movements-around-the-world-adopt-it-22772


(12月24日の記事をベースに、最新情報などを追加しましています)


イエローベスト運動は、同様の問題を抱えた他の国々にも広がっています。

特に欧州ではフランス市民の動向に激しく賛同する人も多く、各国で様々な抗議活動が起きており、一部では「(アラブの春をもじって)ヨーロッパが来たな」という意見が目立っています。

 

さらにFacebookなどで一般市民の意見を見ていると、他国で不満を抱えている人も多く、フランスの市民にエールを送る人が非常に多いのですが、特にアメリカの人が「アメリカでもイエローベストしたいな」という意見を明らかにしているのが目立っていたように感じます。

 


フランス
クリスマス直前の週末も、6週間目の抗議活動は継続してフランス全土で行われていました。その際、一人が交通事故で死亡し、先月から始まった一連の抗議活動での死者数は10名となっています。

アクト5の週にはパリ市内への交通が警察官によって厳重に警備され、地方からパリへ入りにくくなっていたり、最近ではイエローベスト着用でレストランで食事をしているだけで逮捕されたりなど、フランス警察の圧政的な活動が目立っていますが、それでも抗議活動は継続しており、今では世界的な現象のシンボルのようになってきています。

 

1月13日追記

 

http://en.rfi.fr/france/20190113-france-yellow-vest-protests-act-9-emmanuel-macron

 

 

クリスマスやお正月が終わり、最初の週末となった今週末にはなんと、フランス全土で84,000人(フランス警察の見積もり)のデモ参加者がデモに参加したとのこと。

 

https://www.businessinsider.com/france-protests-2019-50000-yellow-jackets-macron-2019-1?r=UK&IR=T

 

保守的な一部のメディアでは参加者数がなぜか激減していますが、抗議活動を少しでも小さく見せたいのでしょうか。よくあることですね。

 

今週は暴力的な事件は目立って減少しているということですが、一度はクリスマスで減少した参加者数が驚くほど増加しています。警察の見積もりでその数はすごいです!!今週は特にボルドーが大荒れだったようです。

 

httpswww.news.com.auworldeuropeparis-riots-cops-fire-tear-gas-at-yellow-vest-protestersnews-story05ca221c2d55200d2bdb51dec4cdaf6e

 


ベルギー

高い税金や食料品に反対する抗議活動が広がった国としては、ベルギーが最初の国でした。
ベルギーの税金は世界的にみても、フランスに次いで非常に高いものになっています。

活動参加者の一部は、2019年5月の全国、地方の選挙を目指してMouvement citoyen belge(ベルギー市民運動)という政党を結成するために動きだしています。

抗議活動者は、11月の終わりから12月にかけて主に首都のブリュッセルで抗議活動を行っています。また、EUの存在に否定的な市民が増加し続ける中、EU議会建物で抗議活動を行っている人たちもいました。

 

ベルギーの抗議活動で警察官による催涙スプレーを受ける市民、 Reuters )

 

 

 

レバノン
12月23日、レバノンの首都ベイルートには悪化し続ける経済状況に対する抗議活動が行われ、イエローベストをシンボルとして数百名が集まりました。

民衆の怒りはまた、同年5月以来、新政権を発足させることができていない政治家たちに対しても向けられています。


Lebanon's Yellow Vests protest against corruption

https://youtu.be/MPjD8QGGQ88



カナダ

 

(プラカード:「カナダは血を流している」 AFP通信)


12月20日、カナダ西部で国内の石油市場の問題に反対する抗議活動が行われ、一部の抗議者はイエローベストを着用していました。

世界第四位の石油輸出国であるカナダは最近の原油価格の下落の影響を受け、石油で潤っていたアルバータ州では従業員の解雇が増え、クリスマスのホリデーの始まりにもかかわらず多くの家庭が無職となっています。

12月15日にはトロントなどの多数の都市部でも、現政権や国連の移民条約に反対する抗議活動が起きています。



エジプト
12月11日、エジプト政府はイエローベストの販売を禁止しました。禁止期間は1月25日までとなっていますが、これは2011年にホスニー・ムバーラ元大統領の政権が転覆されたエジプト革命記念日となっています。

エジプト政府のこの決断は同時に、シシ現政権の脆弱性を浮き彫りにもしています。

イスラエル
現在のネタニヤフ政権の下、経済的不安定、生活費の上昇や腐敗政治に対する不満が高まっており、12月全体を通してテルアビブなどイスラエル全国でイエローベストの抗議活動が行われました。

 

https://www.jpost.com/Israel-News/Yellow-vests-protesters-swarm-the-streets-of-Tel-Aviv-575165

 

(しかしFacebook上などでは、このイスラエル市民の運動に対しては「ガザを侵攻しているくせに」などとかなり冷たい意見が多く目立っていました)

 

 

オランダ


フランスの市民との団結の念を明らかにしたイエローベスト運動は12月1日から数週間、オランダ全国で行われています。
これはまたオランダ政府に対し、物価の値上がりや不平等な扱いの増加の問題を解決するよう、政治家らに求める意思を表しています。

 

(ハーグの議事堂前での抗議活動 AA)


台湾

(Facebookより)

 

2015年から活動を続ける「税制および法制改革を求める運動(The Tax and Legal Reform League movement)」の目的は、税金のシステムの透明性を高めるよう台湾政府に求めることです。

同団体はイエローベスト運動の理念も採用し、先週火曜日から抗議活動を行っており、今後のデモ活動も計画されています。

 

イギリス
お隣のイギリスでもイエローベストに感化を受けた抗議活動が、小規模ながらも何度も起きています。

 

1月5日の抗議活動は、「イギリスは崩壊した」をキャッチフレーズに左派が現政権の保守党を追い出すべく、総選挙と緊縮財政の終焉を要求してロンドンで開催されました。先月には右派による移民の追放を求めるデモ活動もありました。

イエローベスト熱がイギリスにも広がる:フランスとの違いは?
Yellow Vests fever spreads to UK; in what way is it different from France?

https://youtu.be/-bsj3YJav_c

 

ただ残念なことに、イギリスのイエローベスト運動は依然として左右の派閥が対立している様子が垣間見え、まだまだフランスのレベルには程遠いようです。

 

街頭で政治家などののインタビュー撮影中に背後から「ナチスめ~!」「●●は嘘つきだ!」と叫んでいるのはちょっとおもしろいですけどね。

 

 

スペイン
12月15日、年金制度の改善を求めるイエローベスト運動がマドリッドで抗議活動を行いました。

 

下の写真は、スペイン国内200か所で開催された反政府デモの一部の様子です。

 

https://www.tehrantimes.com/news/430850/French-Protests-spread-to-Spain

 


南アフリカ
公共サービスの充実を求める抗議活動が開催された際、イエローベストを着用した参加者も一部に見受けられました。労働組合の代表はフランスでの活動を賞賛し、抗議活動の未来の形であると話しています。

スウェーデン
12月2日、ストックホルムの国会議事堂前に、国連の移民条約に署名を行った政権に対する抗議活動が行われ、翌週にはより大規模な抗議活動が行われました。

 

【関連記事】

移民が石や手りゅう弾で救急車や警察を攻撃:スウェーデンの現状とは?(2017年)

 

 

ドイツ
ドイツ左翼党のリーダーで、欧州の左派の結束を呼びかけている(ゲットアップ運動)サハラ・ワーゲンクネヒトは、イエローベスト運動の考えに賛同し、ドイツの市民に抗議活動を行うように呼びかけています。

 

2018年12月10日

イエローベストを着用し、抗議活動を行うドイツの鉄道労働者たち

German rail workers protest wearing yellow vests

https://youtu.be/gMTmuMTH79U

 

 

 


【参考】

https://www.trtworld.com/europe/yellow-vests-go-global-as-protest-movements-around-the-world-adopt-it-22772

https://www.express.co.uk/news/uk/1069066/yellow-vest-protest-london-news-britain-is-broken-protests

https://www.dailysabah.com/europe/2018/12/17/french-yellow-vests-spark-copycat-protests-worldwide

https://voiceofeurope.com/2018/12/anti-globalist-yellow-vests-movement-conquers-europe-and-spreads-to-fifth-country/

 

 

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【コメント】

 

これはあくまでも、最近の抗議活動の中でもイエローベストに関連しているもののごく一部にすぎません。

 

もちろんこれ以外にもイエローベスト運動は起きていますし、イエローベストは着用していないものの規模などから無視できない抗議活動が世界中に起きています。

 

ギリシャ

 

 

2019年1月10日

独メルケル首相のギリシャ訪問に反対意思を表明する抗議活動で衝突や催涙ガスが用いられる

Clashes & tear gas as protesters demonstrate against Merkel’s visit to Greece

https://youtu.be/IP2V_RjOndI

 

ギリシャの暴動は相変わらず熱いですね。

ギリシャの暴動を見る度、「スパルター!」という映画「300」の雄叫びを思い出してしまいます。

 

 

ハンガリー

 

12月19日付のニュースでは、ハンガリーで「奴隷法」制定しようとしている現政権に対する猛烈な抗議活動が行われ、テレビ局ハイジャックなどかなり過激な状態になっていました。

 

 

(画像 議事堂前でスマホのライトで「奴隷法」に反対する市民 https://www.theguardian.com/commentisfree/2018/dec/19/occupy-hungary-opposition-mps-protest-viktor-orban)

 

 

 

 

インド

 

https://mashable.com/article/indian-women-human-chain-temple-ban/?europe=true

 

2019年1月1日には、何世紀もの間インドでヒンドゥー教寺院に成人女性の入場を禁止している慣習に反対する女性が385マイル (620km) に及ぶヒューマンチェーン(人間の鎖)を形成しました。参加したのは500万人にもおよぶとのこと。

(女性の入場を認める判例が12月に出されたが、ヒンドゥー教右翼の抗議活動者が女性の入場を阻止したことに対する女性たちの抗議活動)

 

 

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世界中でこれまで静かに政治や経済システムに対する怒りをため込み、平和的に物事が改善されることを期待していた市民たちの、我慢の限界が一斉の決壊してしまったような様相です。