「必要な場合」にロシアのインジルリク基地の使用を認める・トルコ首相
Russia could use Incirlik airbase ‘if necessary’ – Turkish PM
8月21日【RT】https://www.rt.com/news/356626-russia-turkey-incirlik-airbase/より翻訳
シリア国内のISISテロリストに対抗する反テロリスト軍事作戦において、ロシアが必要とするのであればインジルリク空軍基地を使用することをトルコ政府が認めるということを、トルコのビナリ・ユルドゥルム首相が示唆した。しかしロシアからトルコ政府に対してそのような要請はされていないということも明らかにしている。
ユルドゥルム首相(土曜日、アナドル通信社の報道より):「トルコ政府はダーイシュ(元ISIS/ISIL、イスラム国)のテロリストと戦う目的でインジルリク空軍基地が開放されています。同基地はアメリカおよびカタールに利用されていますが、他の国もまた同基地の使用を希望しており、現在はドイツも利用しています」
そしてロシアともこの飛行場を共有することは可能かという質問を受けた首相は、「必要であれば、インジルリク基地の使用は可能」と答えている。
最近のメディアの報道(Tims誌)で、ロシア政府がトルコ政府に対し、ロシア空軍向けにインジルリク基地をリースするよう圧力をかけていると伝えられていたが、ユルドゥルム首相はこの件について「この情報は正確ではない」と否定してる。
アメリカ政府がトルコ国内に備蓄している核兵器をルーマニアに移転するという裏付けのない報道がなされている中、ルーマニア政府はすでにこの報道を否定している。しかしロシアの報道社イズベスチャ・デイリー(Izvestia Daily)紙は、ロシア(軍)が間もなくトルコ国内の基地に移動する可能性があると報道してその噂を煽っているようだ。
最近のロシア政府及びトルコ政府間の国交回復を踏まえ、ロシア発の報道にはイーゴル・モロゾフ露上院議員の次の発言が明らかにされていた。
「私たち(ロシア)がインジルリクのNATO基地を、(ロシアの)最重要な空軍基地とできるかどうかは、エルドアン大統領との合意次第というところにまで来ています」
同議員によると、インジルリク基地(の利用)によりロシア政府は戦略的有利性を確保し、シリア国内でのテロリスト撲滅作戦により迅速な帰結をもたらすことが可能になるとしている。
しかしその一方、ロシア軍事勢力はすでにシリア国内での軍事作戦を行うための空軍基地2か所を近辺に保有しており、標的に160~240km接近したことにより戦略的優位性が実現されることはないのではないかと指摘し、ロシアがトルコの空軍基地を利用する必要性は実際にはあまり高くないのではないかと懐疑的な意見を表明した。
【関連記事】イラン政府がロシアに対し、ハマダーン空軍基地を「必要とする期間だけ」委任すると表明
テロリストに対する空爆を実行するロシアの戦闘機のほとんどは、シリア国内のクメイミム(Khmeimim)空軍基地を拠点とし、最近ではイランのハマダーン基地にも拠点を置き始めており、また長距離の戦略的作戦では、ロシア航空宇宙軍はロシア国内の空軍基地も使用している。
ロシアはシリアのアサド大統領の要請を受け、2015年9月30日からシリア国内でのテロリスト撲滅のための空爆作戦を開始。
この数十年の間、トルコはNATO内でも主要な参加国となっているが、ロシア政府がインジルリク空軍基地の使用許可を求めることになった場合はしかし、トルコの防衛戦略における情勢を変える可能性が高い。
トルコのメブリュト・チャブシオール外相(Sputnik紙):
「技術の交換や、共同投資などの点において、NATO加盟国はトルコに対して逃げ腰な姿勢を見せています。トルコは自国の防衛産業を展開させ、防衛システムを強化させることを望んでいますが」
「そのため、ロシアが興味を示した場合には、トルコはこの分野においてロシアとの提携の可能性を検討する準備ができています」
US nukes in Turkey vulnerable to ‘terrorists & other hostile forces’ – think tank https://t.co/OGJH1pV57p
— RT (@RT_com) August 15, 2016
今月、トルコのエルドアン大統領と「彼の友人」であるプーチン大統領が会合を開き、トルコ政府及びロシア政府間のより密接な軍事協力関係が可能となった。
昨年11月にトルコ空軍がシリア国内にあったロシアの戦闘機を撃墜し、両国間の関係は最悪の事態になっていたが、今月の二か国のリーダーの会合により二国間関係が改善された。
また昨月のクーデター失敗事件直後に、アメリカおよびその同盟国はトルコの現大統領、政権に対する支援がまったく熱のこもらないものであったことにより、トルコ政府は(ロシアに対し)謝罪し、考えを改めたようである。
(画像 https://www.rt.com/news/346662-erdogan-putin-letter-turkey/)
ワシントンDCを拠点とするシンクタンクはトルコ国内にアメリカが備蓄している核兵器の安全性を懸念し、月曜に報告書を提出してその中で同地域からアメリカの核兵器を排除することをアメリカの国会議員に強く要請した。
懸念が強くなった火曜日、米軍はトルコのインジルリク基地からルーマニアのデベセル(Deveselu)基地に米国に所属する核兵器を移動し始めたとEurActiv誌が報道しているが、ルーマニアの外相はこのニュースを公式に否定している。
アメリカ政府はこの問題に関しては沈黙を保っているが、Foreign Policy紙は「アメリカはトルコからルーマニアへ核兵器を移動させていない」というタイトルの記事を公表した。この記事には、ルーマニアには核兵器を安全に保管するために必要なインフラが欠けており、非常に危険な核兵器を移転することは不可能であるという核兵器専門家のジェフリー・ルイス氏の指摘が引用されている。
60年代の冷戦時代にソビエト連邦からの脅威(とみなされていたもの)を阻止する目的で、NATOの核兵器の共有に関する同意がなされたが、この同意内容に基づいて一部のNATO加盟国はその領土内にB61核兵器を保管する権限が認められ、その他の国にはB61を輸送可能な航空機を維持することが委任されていた。
オープンソースからの概算では、アメリカの「非戦略核兵器」の約150~200基がベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、そしてトルコなどのNATO加盟国内に配置されていることが示唆されている。
(翻訳終了)