話してなんぼのフランス | 万事塞翁がフランス

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フランス南西部に住んでもうじき30年になります。双子男女の母、フランス人夫の妻です。日常のあれこれをつぶやいています。

 

フランスでは沈黙はnot美徳

 

 

昔の記事に珍しくコメントを頂いたことがある。確か義姉の恋愛についてだった。

 

内容は他人のことをそこまで知ってるってびっくり、みたいなことだったと記憶している。そこで私は思った。

 

私は日本を離れて30年近くになる。30歳のことだった。大人になってからの人生をフランスで過ごしたと言ってもいい。だから自分の感覚はかなり日本人のそれとは離れているのかもしれないと。同時に、日本では家族内や友人の間でも個人的なことはあまり話し合ったりしないのかもしれない、と。

 

フランス人の人との関わり方は日本人のそれとは何となく違うと思う。

 

家族の集まりでも父兄の仲良しさん同士の集まりでも、フランスでは喋ってなんぼである。喋らなかったら存在していないのと同じ。沈黙は美徳、ではないので、存在するためには、自分のことを分かってもらうためには話さないと始まらない。

 

フランス語が片言しか話せなかった最初の数年間はかなり苦しかった。だってほとんど毎日曜ある義実家での食事会でみんなの言っていることがよく分からないし、説明もできないからもどかしいやら悔しいやら。

 

克服するために独学で辞書を片手に手元にある雑誌を読み、テレビを一生懸命に聞き、それは一所懸命だった。おかげで私の語学力、話す力が少しは鍛えられた、と思う。

 

土曜うっかり出くわしたデモ行進。警官もデモ参加者とよう喋ってますわ

 

 

話して分かち合って

 

 

ご近所さんで隣の棟に住む私と同い年の女性がいる。彼女もうちと同年代の子供二人がいて、似たような仕事をしている。駐車場ですれ違う時、子供同士が一緒に遊んでいたのをきっかけに時々言葉を交わすようになった。

 

10年来の付き合いになるが、仕事のこと、子供のこと、いつも立ち話だけどお互いに色々話す。互いの苦労を分かち合って最後はじゃ、頑張って、と笑顔で別れる。

 

うちの娘を見ていても、友人とはあますことなくありとあらゆる事柄を話しているようだ。だから困った時、辛い時、友人の支えとか助言で助け合えているのだろう。

 

私とも同様で、もちろん思春期には彼女にも沢山の秘密はあったけど(あって当たり前、そこに必要以上に踏み込んじゃいけない)、23歳になった今は母親の私とお互いに色んなことを話し合える。

 

娘も学業、友人関係、恋愛、様々な経験をしてきて大人になったなあと思う。私も娘のことを一人の大人として尊重するし、私の知っている知識が必要と思ったらアドバイスはするけど、そこまで。彼女の場合、失敗という体験を経て学んで行くタイプだと分かっているから。

 

いつまでも色々なことを話してもらえるように、オープンな姿勢でいたい。