デェメートルでの生活が始まった
家はリーダー・マツモトが用意してくれた
タイタンでの家と同じ位の広さ
ただ、デェメートルの家の方が少し設備が古い
中古品という意味ではない
デェメートルがタイタンより、家電品が少し遅れているのだ
大野は気にしない
というより、彼は少し古い製品の方が好きなのだ
新しもの好きなのに、実際に使う物は馴染んだ物が好きなのだ
櫻井は、勿論気にしない
彼は大野が居れば、満足なのだ
ただし、タイタンとは大きく違う点が一つだけあった
2人暮らしではない
ナニーアンドロイド・カズが一緒だ
「墓場星には帰らないの?」
櫻井が聞いた
「帰りません
私がいないと智がまた、いつ何時、壊れるかわかりませんから」
きっぱりと言い切った
友達、恋人櫻井翔への宣戦布告だ
「あ、カズ~
ずっと、一緒だね~
んふふ 嬉しい~」
ほわんと大野は笑う
もはや、櫻井に反対する言葉は出て来なかった
いや、言えなかった
大野とカズはぴったりとくっついている
カズはそのようにプログラムされているらしい
カズが私はプログラム通り動いてますと言ったからだ
すでに寿命を迎えていたアンドロイドだが、修繕する時に全ての部品を新しくして貰った
マスター・オカダの指示だ
「大野教授を助けたんだ
まだまだ、働けるよ」
マスター・オカダは純粋に好意からしてくれたのだ
という訳で、デェメートルでの2人と一台の生活が始まった
家事はカズがしてくれるから、2人は仕事に没頭出来た
着々と仕事は進んだ
そして、櫻井もカズがいるのがいつしか、当たり前に感じるようになった
でも、夜は2人きりの寝室
「智くん、おやすみ」
「翔くん…おやすみ」
まだ、大野は櫻井が横に添い寝して貰わないと眠れなかった
本人が眠れないと主張するから、真実だろう…‥…多分
櫻井は大野が眠るまで、時々いや、毎晩櫻井の指は大野に悪戯している
大野の体を優しく撫でて、大野を困らせる
「しょ…‥…やん………」
[智くん]は、拒まない
敏感な所を撫でさすり、口に含んだりする
体を震わせ、大野が櫻井にしがみつく
「しょ…‥…あ…‥………」
部屋に流れる溜め息
甘い声
すすり泣く声
体が触れ合う音
密やかな、夜の2人の秘密
朝は櫻井がキスしないと、大野は目覚めない
「智くん、起きて」
「やん…‥………あと……五分…………」
「あと五分?
五分こうしようか?」
櫻井が大野の全身にキスの雨を降らせる
大野が笑い転げる
「やん~ 翔くんのけち~」
「何がけちなの~」
そして
「早く起きなさい!」
カズに怒られる
毎日がこの繰り返しだった
大野と櫻井が開発した介護用アンドロイドは大ヒットした
姉妹品のナニーアンドロイドも宇宙中に販売され、ヒットした
デェメートルのコロニーはこの売上で、漸く財務が安定した
戦闘ロボットより、市民にとってはこちらのアンドロイドこそが必要だったのだ
一年経った所で、大野が櫻井におずおずと言い出した
瞳に不安を浮かべて、訴える
「翔くん…‥…地球に行きたい…‥…
で…‥…ね……」
櫻井の答えは決まっている
「勿論、俺も行くよ」
「翔くん…‥嬉しい」
ふにゃふにゃと笑う
小さな声で付け加えた
「ハネームーンだね」
だが、その時櫻井はカズにケーキ食べたでしょうと責められ聞いていなかった
「半分しか食べてないよ!」
「半分でも、食べたんでしょう!
あれ、腐ってたのに!」
「えっ………」
「翔くん…‥大丈夫だよ
おいらも食べたけど、何とも無いよ」
「智くんと違って俺はデリケートなの!」
「…‥…………………しょ…‥…」
その夜、大野はナニーアンドロイド・カズの部屋で眠った
翔くん…‥…ハネームーン、無し!
地球が2人を待っている