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【永田町情報】 ★野田も「裸の王様」になるのか 時事通信社解説委員・田崎史郎。。。

川口市議会議員の若谷正巳です。


~時事通信~


【永田町情報】 ★野田も「裸の王様」になるのか 時事通信社解説委員・田崎史郎

 「山梨の花咲かじいさん」―。民主党幹事長・輿石東は党内で、こう呼ばれている。外交担当最高顧問に元首相・鳩山由紀夫を据えるなど、ポストを欲する人にはポストを与える。小選挙区選出の衆院議員には臨時活動費名目で300万円を支給。ポストやカネをばらまき、さらに衆院選を恐れる議員心理をくみとって、衆院解散先延ばしを図っている。

 こうした配慮の効き目からか、党内で輿石に対して不満はあまり聞かれない。だが、このような党運営が果たして、首相・野田佳彦の悲願である消費増税法案の成立に結びつくのだろうか?


 ◇輿石が政権の足を引っ張る

 「政権の失敗にはたいてい、輿石さんが絡んでいるんですよね…」。首相周辺はこう嘆いた。

 昨年11月、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に向けた協議に入る決定を一日遅らせたことに始まり、輿石は今年1月の内閣改造・党役員人事では田中直紀を閣僚に押し込んだ。防衛相・田中と、国土交通相・前田武志に対する議案が4月20日に参院本会議で可決されると、輿石は2閣僚の更迭に強く反対した。輿石はまた、元代表・小沢一郎の裁判で検察官役の指定弁護士が控訴するかどうかを決定する前に、処分解除を主導した。

 いずれについても、首をひねる民主党議員は多い。それが表面化しないのは、ポストやカネを配分しているだけでなく、「輿石さんが怖いからだ。参院民主党で、反抗する人たちを干し上げるなど強烈なことをやったので、表向き反発する人がいなくなった」(民主党中堅)と言う。

 だが、これらのことは民主党のイメージを損なった。3年前の衆院選で国民の多くが民主党に期待したことは、青臭いほどの清新さであり、民意を尊重するひたむきさだった。それとはほど遠い手法を輿石が取るのは、労組出身であることに由来するとみられている。

 労組出身議員の選挙運動は無党派層をターゲットにするのではなく、身内である労組を固めるのに精力を注ぐ。組織内をうまく固められるかどうかが当落を左右するからだ。

 となると、視線は組織内に向けられ、発想そのものが内向きになる。言い換えると、民主党を見つめる国民の目など、輿石にとっては二の次になっているわけだ。また、どうしてもこれだけはやり遂げたいという政策的な信念があるわけでもなく、組織内の融和そのものが自己目的化している。

 時事通信社の世論調査で民主党支持率は3カ月連続で一ケタ台となり、10~13日実施した調査ではついに9.0%に落ち込み、2009年の政権交代後、最低を記録した。同時に調べた内閣支持率が1.6ポイント回復しているのに、政党支持率が減少したのは輿石の党運営と無縁ではあるまい。


 ◇宮沢政権末期の様相

 その輿石が消費増税法案の成否のカギを握る。野田は「不退転の決意で、政治生命を懸けて、命を懸けて、この問題を前進させ、この国会中に成立をさせる」(3月24日、日本アカデミアでの講演)と語り、解散を辞さぬ構えを見せているが、輿石の協力が得られなければ、事実上難しい。

 宮沢政権末期の1993年6月18日、こんなことがあった。当時の首相・宮沢喜一は政治改革法案の成立を図るため、自民党羽田・小沢派会長の羽田孜と話し合った上で2カ月間の国会会期延長を決断し、単身で衆院議長公邸に駆け込み、衆院議長・桜内義雄に頼み込んだ。

 しかし、寝耳に水だった自民党幹事長・梶山静六はこれに協力しなかった。結局、この日午後の衆院本会議で内閣不信任案が可決された。宮沢は衆院解散で対抗したが、衆院選の結果、自民党は政権の座から滑落した。

 この時、宮沢は「裸の王様」になっていた。野田が輿石の説得に失敗すれば、野田もまた「裸の王様」になりかねない。(敬称略)(了)

(2012年5月21日配信)