【永田町情報】 ★野田はいつまで2閣僚をかばうのか 時事通信社解説委員・田崎史郎。。。 | 川口市議会議員 わかやまさみ オフィシャルブログ 「いつも笑顔で」Powered by Ameba

【永田町情報】 ★野田はいつまで2閣僚をかばうのか 時事通信社解説委員・田崎史郎。。。

川口市議会議員の若谷正巳です。


~時事通信~


【永田町情報】 ★野田はいつまで2閣僚をかばうのか 時事通信社解説委員・田崎史郎

 首相・野田佳彦は防衛相・田中直紀と国土交通相・前田武志をなぜ、辞めさせないのだろう。残留することによって政権への非難を招く2人を守る価値があるのだろうか。

 参院本会議で2閣僚に対する問責決議案が可決されたことによって、野田政権と自民党を中心とする野党はチキンゲームに突入。全面的に審議拒否することを決めた自民党が批判を浴びることになっても、中・長期的にみればより大きな傷を負うのは野田だ。野田が「命をかける」と言明した消費増税法案の成立がますます難しくなるに違いない。


◇守る価値がない田中と前田

 国会における田中の答弁ぶりはテレビの情報番組で繰り返し放送され、失笑を買っている。私もかかわっているTBS系「ひるおび!」、フジテレビ系「とくダネ!」では、田中が参院予算委員会で自民党の佐藤正久に厳しく追及され、答弁席で思わず「もし、もし…」と言ってしまう場面はスタジオで「なんど見ても面白い」という声が上がる。田中は国会論争の域を大きくはみだし、お笑いに堕している。

 閣僚の答弁がこんな形で話題となるのは33年の政治記者経験で初めてのことだ。民主党議員と話すと、「自民党政権時代だって、法相・南野千恵子が答えに窮し『なにぶん、専門家ではないもので』と答弁していたじゃないか」と反論する。しかし、南野の答弁は田中ほど話題にならなかった。民主党政権が誕生して以来2年半もたっているのに、いまだに「自民党時代もあったことだから、われわれだけを問題にするのか」という論理を駆使して正当化するのが間違っている。

 田中は決して「勉強不足」なのではない。日曜日も防衛省に出勤して、官僚から懇切丁寧なレクを受けている。しかし、いくら勉強しても、それが身につかないのだ。田中と同じ慶応大学法学部出身の元防衛相・石破茂は「質問していると力が抜けていく。慶応大学出身者は肩身が狭い」とぼやいていた。

 田中が個人の能力の問題であるのに対し、前田の問題は民主党の体質にかかわる。「夕刊フジ」のスクープによって発覚したこの疑惑は、前田が岐阜県下呂市長選(15日投開票)で告示前に、下呂建設業協会の理事長宛てに候補者支援の依頼文書に署名して出したというもの。公職選挙法違反(地位利用と事前運動)の疑いがもたれている。所管大臣が業界団体に圧力をかけるという「政官業癒着」の構造は、民主党が野党時代に自民党を攻撃していたことだ。

 しかも、文書を前田に頼んだのは民主党衆院議員の山田良司。民主党が政権を担っているうちに自民党と同じ体質になってしまったと思われても仕方がない。このように考えれば、田中も前田も、政権が守る必要はまったくない。


◇2閣僚辞任は時間の問題

 にもかかわらず、続投させているのは参院議員会長を兼ねる輿石東が身内をかばっているからだ。輿石は参院民主党で「年功序列人事」を行い、2人を閣僚に推薦した。

 野田周辺は当初、少なくとも前田のクビは切らざるを得ないと考えていた。田中についても「首相もあれほどひどいとは思わなかった」との声が上がっている。しかし、政権の支柱であり、党運営をゆだねている輿石に気兼ねせざるを得なかった。

 だが、2人をずっと続投させると思っている人は少ない。野田が政権の命運をかける消費増税法案の成立を図るには、公明党が反対する以上、自民党の協力を求めざるを得ないからだ。

 政権内部では「自民党さんには、審議拒否するつらさをしばらく味わってもらう」という主戦論が今のところ強い。だが、消費増税法案のことを考えれば、最も困るのは野田だ。しかも、2人を残留させることによって内閣支持率が一段と低下するだろう。

 このチキンゲームが1カ月も続くとは考えにくい。終わってみれば、民主、自民の二大政党に対する信頼が一段と低くなり、特に野田にとっては大きな痛手になるだろう。(敬称略)(了)

(2012年4月20日配信)