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【永田町情報】 ★野田が野田なら、谷垣も谷垣だ 時事通信社解説委員・田崎史郎

川口市議会議員のわかやまさみです。


~時事通信~


【永田町情報】 ★野田が野田なら、谷垣も谷垣だ 時事通信社解説委員・田崎史郎

 「野田は、オレの内閣不信任案が提出された時、本会議場で賛成討論をぶったんだ。そのオレの施政方針演説を引用するのはなんかヘンだよな」-。首相・野田佳彦の施政方針演説を24日、衆院本会議場で聞いていた元首相・麻生太郎は本会議場の最後列で隣に座っている元首相の福田康夫や、その隣の安倍晋三に向かって苦笑しながら、こう語り掛けた。

 過去の言動を引っ張り出して自民党に協力を迫る野田。これに対して、自民党総裁・谷垣禎一も26日の代表質問で、野田が2009年の衆院選の最中「マニフェストにはルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです」と語った言葉を引用してやり返した。こんなことを繰り返して、何の意味があるのか。


◇小泉進次郎に劣る野田

 この局面に限れば、先に引き金を引いたのは野田だ。野田は施政方針演説で福田や麻生の施政方針演説の一節を引用した。施政方針演説で過去の首相の演説を引用したことは聞いたことがない。少なくとも、当てつけのような形で引用されたことはない。

 果たして、引用する意味があったのか。自民党の反発がますます強まっただけでなく、福田や麻生が民主党に協力を求めたにもかかわらず、民主党が拒否して政権が立ち往生した当時の民主党のむちゃな行動がよみがえってしまった。

 野田の言葉で印象に残るのは引用が多い。昨年9月の代表選で話題となった「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」は詩人・相田みつをの引用だし、年頭記者会見の「ネバー、ネバー、ネバー、ネバーギブアップ」も英国の元首相・ウィンストン・チャーチルの言葉だった。

 野田はなぜ、自分の表現で語らないのだろう。この点、自民党青年局長・小泉進次郎の言葉の方がはるかに光る。

 「自民党に何ができるか、というのは問題ではないと思う。逆説的な物言いになりますが、自分の党のことを考えない党こそが、国民の信頼を得ることができる。考えるべきは日本の今、日本の将来だ」(自民党の女性月刊誌「りぶる」における対談で)

 「自分の党のことを考えない党」…。党の利害を超えるということだろうが、表現がうまい。小泉は対談で「国民の信頼を得るにはどうしたらいいか。私は、言葉の力だと思う。政治家は、言葉が武器です」とも語っている。


◇自民党は消費増税に賛成か反対か

 言葉の貧困さにおいて、谷垣も野田に負けていない。

 「今年こそ、いよいよ政治決戦の年です。一刻も早く、衆議院の解散、総選挙に追い込んで、政権を奪還しなければなりません。そうしなければ、取り返しのつかない国家危機に陥る、もはや瀬戸際と思われます」(22日の自民党大会あいさつ)

 表現があまりにストレート。要するに、衆院を解散しろ、オレたちに政権をよこせ、話はそれからだ、と言っているにすぎない。自民党が政権を奪還したら何をするのか、を語っていない。谷垣は、有権者が自民党に政権復帰を求めていると勘違いしているのではないか。

 最も疑問であるのは、仮に総選挙になったとして、自民党はマニフェストに消費増税について、どう書くのだろう。10年参院選のマニフェストではこう書かれている。

 「当面10%とすることとし、政権復帰時点で国民の理解を得ながら決定する」

 いくらなんでも、この表現を後退させるわけにはいくまい。ある首相経験者は正直に「その点を突かれるのが一番つらい」と語っていた。

 野田も谷垣も、お互いの非をあげつらうのはほどほどにして、率直に語り合い、合意点を見いだすことに力を傾けたらどうか。その際、消費増税法案を成立させた上での「話し合い解散」は有力な選択肢になるに違いない。

 非難合戦を繰り広げているだけだと、国民は既成政党に愛想を尽かし、新党に「青い鳥」を見いだそうとするだろう。(敬称略)(了)

(2011年1月30日配信)