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【永田町情報】 ★野田政権、融和人事響き問題続出 時事通信社解説委員・田崎史郎。。。

わかやです。


~時事通信~


【永田町情報】 ★野田政権、融和人事響き問題続出 時事通信社解説委員・田崎史郎

前経済産業相・鉢呂吉雄の辞任などを見るにつけ、首相・野田佳彦の言葉で、ささいなことだが印象に残っていることがある。新内閣発足後の2日夕の記者会見で閣僚・民主党役員人事について、次のように語った。

 「適材適所の中でさまざまな要素をバランス良く考えたということです。それをどう評価していただくかどうかは、これは皆さまの受け止め方だと思いますので、大体それぞれの社内もいろいろな人事があると思いますが、万人が納得する人事というのはなかなかありませんよね。その中でも私なりの判断で決めさせていただきました」

 会社に人事に例えたこの言葉を聞いて、この陣容が野田の思い通りではなかったことを直感した。


◇官房長官・藤村に不安感

 最も難航したのが官房長官人事だった。官房長官には実は、ほとんど報道されなかった「意中の人」がいた。その人物がある事情からどうしても起用できなくなって、野田は前幹事長・岡田克也に白羽の矢を立てた。

 意中の人を検討している間、岡田への打診が遅れた。国会で首相指名選挙が行われた8月30日、参院議員会長・輿石東に幹事長を打診する際に、野田が「党は輿石さん、内閣は岡田さんで」と同時決着を図れば、岡田は疲れ切ってはいても受けていたかもしれない。岡田への打診が遅れたことで「岡田官房長官」が消えた。

 このため、側近の藤村修を起用するしか選択肢がなかった。藤村に対する野田の信頼は非常に厚い。その意味で官房長官を「首相の女房役」と位置付けるなら最適任だ。


 しかし、政府の政策決定における官房長官の比重は年々歳々重くなって、さまざまな、かつ複雑な案件が次々と官房長官のところに持ち込まれる。また、月曜日から金曜日まで、日に2回の記者会見を行い、政府の方針や首相の考え方を臨機応変に伝えなければならない。

 つまり、首相との信頼関係だけではもはやこのポストは務まらなくなっている。毀誉褒貶(きよほうへん)はあっても、過去2代の官房長官、仙谷由人のさばき、枝野幸男の記者会見は見事だった。霞が関では、藤村の処理能力を不安視する声が上がり始めている。


◇公明党を怒らせた民主国対

 次に難航した閣僚人事は、代表選を戦い、決選投票で野田が勝利する要因となった農水相・鹿野道彦の処遇だった。野田は当初、「鹿野国対委員長」を考えていた。

 しかし、鹿野が農水相再任を強く希望。国対委員長には別の人材を充てざるを得なくなって、国対の経験が長く、元首相・鳩山由紀夫グループへの配慮にもなると踏んで、元官房長官・平野博文に落ち着いた。

 平野には鳩山内閣が短命に終わったことに大きな責任がある。また、平野を起用したからといって、鳩山グループ全体が喜ぶわけではないが、鳩山本人は満足げなのだという。

 

 それでも国対経験が買われたわけだが、平野の国対経験は野党時代のこと。野党国対ならば、好き勝手なことを言って、後は与党に考えてもらえばいい形で済んだ。しかし、与党国対は野党に辞を低くして頼み、なだめすかしながらまとめていく忍耐と粘り強い交渉力が求められる。

 ところが、平野は今国会の会期と予算委員会の日程づくりで野党、とりわけ公明党をカンカンに怒らせてしまった。

 公明党は野田政権が発足直後、政権への協力に前向きだった。代表・山口那津男は先月30日、野田のあいさつを受けた後、記者団に「新首相が誠実に対応しようという姿勢は十分に感じた」と評価した。山口はまた、9月8日の党会合で東日本大震災の復興対策について「われわれはいつでも協議に応じるつもりだ」と語り、協力姿勢を鮮明にした。この姿勢は鉢呂辞任後も変わらず、辞任直後「このことだけで、国会の議論や、震災復興に向けた協議の在り方に影響を及ぼすべきではない」と強調、暗に自民党をけん制した。

 

 しかし、今国会の会期問題をめぐり、公明党が予算委員会の閉会中審査という落としどころを提案したのに、平野が当初拒否したことを契機に一気に態度を硬化させた。野田や輿石らが乗り出し、事なきを得たが、平野の責任は重大だ。

 平野以外にも、国家公安委員長・山岡賢次のマルチ商法業者からの献金問題、問題発言をしそうな閣僚とまだまだ安心できない。野田は今後、態勢を立て直せるだろうか?(敬称略)(了)

(2011年9月16日配信)