■ Dr. Tosh ドクタートッシュ(四宮敏章)

 

4:49 がんの場合、1か月前から急速に心身の状態が変わり始めます。

 はじめは週単位の変化だったものが、日単位に変わってきます。

 そうなると、患者さんに残された時間は1週間程度だろうと判断します。

5:08 亡くなる1週間前

 患者さんの心身の状態は日単位で変わってきます。

 多くの患者さんはややボーッとした精神状態になります。

 会話は成立することが多いのですが、

 なにか夢と現実の中を行ったり来たりするような感じになります。

5:50 身体面としては、身体が弱ってきて寝ていることが多くなります。

 血圧が下がります。

 心拍数も上がることがあり、

 体温も上がったり下がったりします。

 皮膚の色も赤くなったり青ざめたりすることもあります。

 手足が冷たくなったり、

 呼吸の変化も起こります。

 さらに進行すると、あえぐような呼吸になったり、

 唇をブルブル震わせたりすることもあります。

 また、喉元で痰がゴロゴロということがあります。

6:35 亡くなる直前1~2日前

 声をかけても目を覚ますことが少なくなります。

 しかし、この状態でも最期まで皆さんの声は聞こえています。

 一方、人によっては急に元気が出ることもあります。

 あたかもこのまま歩きだすんじゃないかと思うほど

 意識がはっきりされる方もいます。

 しかし、長続きはしません。

7:21 亡くなる直前

 目は閉じたままか半開きになることが多いですが、

 見えてはいません。

 時折涙を流したりする人もいますが、

 患者さんの表情は穏やかなことが多いです。

 手足は紫色になり、

 脈は弱くなります。

 最期は顎をガクガクとさせるような呼吸になります。

 その後、一度か二度の長い間隔を空けた呼吸に続いて

 最後の呼吸が見られます。

 

7:42 良くある質問
 Q:最期になると苦しみは増すのでしょうか?
 A:8割の方は何もしなくても自然に眠っているように最期を迎えます。
   残りの2割の方は苦しみを和らげるために
   睡眠薬による鎮静が必要な場合もあります。
 Q:食べられなくなると、点滴や栄養補給は必要ないのでしょうか?
 A:亡くなる前の身体は正常に機能しなくなっています。
   点滴などで余計に水分や栄養補給をしても
   うまく利用できないので、むしろ身体に水分をためてしまい、
   しんどさを増すことがあります。
 Q:話のつじつまが合わずに興奮してしまう。
   どうしてこんなことが起こるのでしょうか?
 A:これは「終末期せん妄」と言われる精神症状の一つです。

    がんの終末期の9割の人に起こる終末期せん妄とは #58

 

3:05 大事な人へ何をしてあげられるのか

 手足を優しくマッサージしてあげてください。

 患者さんのお気に入りの音楽を流してあげてください。

 ご家族でいつものように何気ない日常の会話を

 患者さんのそばでしてあげてください。

3:42 食事に関してもご家族ができることはあります。

 食べやすい形、硬さなどの工夫。

 少量で栄養が取れる食品もあります。

 患者さんは好きな物なら意外に食べられることもあります。

5:05 亡くなる数日前になると眠りが深くなり、

 喉に唾液が詰まってゴロゴロするというような状態になります。

 口の中に溜まったものを綿棒などでそっと拭ってあげてください。

 胸に手を当てて優しくさすることもいいと思います。

5:46 患者さんの最期が急に訪れることもあります。

 急いで救急車を呼ばないでください。

 在宅の場合、訪問看護師や在宅医に連絡し、相談してください。

6:44 お葬式の準備をどうすればいいか

 残された命が数週間程度という時にはそろそろ用意したほうが良い。

7:43 自分のつらさも出していい

 大切な人を失うという出来事は人に大きな精神的ストレスを与えます。

 気持ちがつらくなって当然だと思います。

 一人で抱え込まないで、気持ちを周りに出しましょう。

 

■ かんわいんちょー(大津秀一)

 

1:17 痛み

 最後まで痛みがない人もいる。

 痛みが出る方のほうが多いとは言われている。

 痛みも程度の差がある。

 強い痛みであっても何かしらできることはある。

 痛み止めをしっかり用いることで苦痛は和らげることができる。

 痛みの原因は人によってさまざま。

 重要なことは我慢しないこと。

4:42 倦怠感

 余命が何週間という形になってくるとどうしてもだるさが増えてくる。

 余命が短い場合にこのだるさを完全に緩和するのはちょっと難しい。

 エネルギー温存療法

 動ける時間はなるべく動いて、

 そうではない時は無理せず休息を取ることが重要になる。

6:14 息苦しさ

 出る人と出ない人がいる。

 息苦しさもいろいろ。

 酸素投与を行う。

 疲れやすいということであれば、なるべく余分な活動をしないように心がける。

 抗不安薬が息苦しさの緩和に役立つ。

 病気の原因によっては、

 ステロイドが炎症を軽くして息苦しさに作用する場合もある。

 医療用麻薬は咳や息苦しさにも効く。

 余命が限られてきているような息苦しさに関しては、

 場合によっては鎮静が必要になることもある。

8:41 食欲不振

 ほとんどの人が最期は食べられなくなってくる。

 「食べなさい」というのは良くない。

 大事なのは、最後まで食事が苦痛にならないこと。

 本人にとって好きな食事を与えてあげることが重要。

 味覚が変わったりすることもある。

10:51 便秘・排泄困難

 下剤でも出ない場合は座薬・浣腸・摘便で対応する。

12:01 浮腫

 余命が短くなくても出るむくみがある。

 亡くなっていく前くらいになってくるとむくみが増えることはよくある。

 理由は低アルブミン血症とリンパ浮腫。

15:16 せん妄

 身の置きどころのなさ。

 時間・場所・人の感覚が曖昧になる。

 身の置きどころのなさがひどい場合には鎮静以外に方法がない場合がある。