政界汚職捜査を指揮してきた私から見て、今回の加計学園問題で最も着目すべき点、それは、加計学園の獣医学部の開設が「平成30年4月」に設定されたということです。
それを前提に、その時期に開設できるように、加計学園だけが、昨年10月には現地の地盤調査(ボーリング)を始めるなど、その準備を着々と進めていました。
平成30年4月の開設により、加計学園に財政的なメリットが生ずるとした場合、行政や政治家が、当該開設時期の設定を加計学園側から依頼され、それを受け入れたとなれば、それはまさしく行政や政治家側から加計学園に多大な便宜を図ったという構図になります。
もともと、贈収賄事件においては、特定の業者に便宜を図ったか否かが大きなポイントになり、捜査の重要な着眼点になります。
確かに、本日の衆議院予算委員会の安倍総理の答弁は、以前と比べ、極めて低姿勢に終始しました。しかし、以下のように嘘があったように思います。
総理は、昨年後半、何回にもわたって、加計孝太郎氏(加計学園理事長)とゴルフ・会食を共にしております。
しかし、総理は、「そのゴルフ・会食の際、二人の間に、加計学園の獣医学部開設の話は一切出ていない、加計学園が獣医学部新設に係る特区申請をしているのをはじめて知ったのは、今年1月20日の国家戦略特区諮問会議において加計学園の申請が認められた時である」という趣旨の答弁をした。
親しい二人の間で、これだけゴルフ・会食を共にしながら、加計学園の獣医学部新設の話が一切出なかったという方がむしろ不自然極まりないです。
昨年といえば、丁度、その加計学園の獣医学部の開設時期が決められようとしていた時期です。
それらのゴルフ・会食の際に「平成30年4月の獣医学部開設という話が出ていた」ということを認めるのは、まさしく便宜を図ったということに繋がってしまうことから、それを避けるための嘘だったように思われます。