舛添都知事の発表・報告は「公正らしさ」に欠ける! | 若狭勝オフィシャルブログ「法律家(Lawyer)、議員(Legislator)、そのL字路交差点に立って」Powered by Ameba

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舛添都知事に係る政治資金不正使用の疑いのうち、
最大のポイントは、違法性が疑われる案件があるか否かです。

その観点からは、それは何と言っても、千葉県のホテルに家族で正月に宿泊した際、
その客室を訪れた出版社社長(元新聞記者)と政治的な協議をしたことから、
その宿泊代等を政治資金収支報告書に「会議費」として記載したという案件です。

仮に、そうした会議をした事実などなかったとしたら、
明らかな虚偽記載であり、明白な政治資金規正法違反になるからです。

確かに、この宿泊代等だけに限れば、金額的には比較的少額であり、
この事実だけで起訴されることはないと思いますが、これだけ
出版社社長と会議をした旨の答弁を何度もしていることに照らせば、
それが虚偽(記載)だったとすれば、極めて悪質な法律違反です。

虚偽がどうかは、今後、各種調査・捜査で明らかにされなくてはいけませんが、
少なくとも、現時点で言えることは、弁護士らの調査報告も含め、
都知事の発表・報告に「公正らしさ」が感じられないということです。

私は、コンプライアンスについて講演する際、
「 “公正” と “公正らしさ” の違いを理解し、
 コンプラアンスの問題においては、
 “公正らしさ” も備えていなければならない」
旨をよく話しております。

公正であることはもとよりですが、それだけでは足りず、
昨今の説明責任、透明性が重視される社会においては、
いくら自分では「公正だ」と訴えてみても、外部の人間が見聞きして、
「確かに公正に見える」と感じられなければ、自己満足の何物でもなく、
逆に「公正そのもの」にも疑いの目が向けられるということです。

公的な立場にある人が、出版社社長と会議をしたという抽象的なことだけ語り、
あとは、その社長のプライバシーに係る問題で迷惑をかけられないという言い振りで
曖昧な話に終始するようでは、「公正らしさ」が全く欠如した発表・報告です。

その社長の個人名を伏せるにしても、知事は、会議の実態についてもっと具体的に
発表・報告しなければいけないし、知事の政治生命がこれだけ危機に瀕しているのだから、
逆に、その社長が何らかの形で名乗り出てきてもよいのではないかと思います。
名乗り出て説明すれば、それでこの問題は解決に向かいます。

ですから、このような場面において大事なことは、
「悪いこと(虚偽記載)をしていない、公正な処理をしている、だから信じて下さい」
と訴えることではなく、記者発表や都民・国民等への説明において、
いかにも誠実な態度で真摯に説明していると思われること(公正らしさ)です。

このホテルの宿泊・会議の問題について何とかその場を繕って逃げ切ろうとしている、
と映ってしまうような姿勢では、到底、「公正らしさ」が備わっているとは言えません。