ほぼ1年前、川崎市の河川敷において、中学一年生が、絶句するような方法で
殺害された、いわゆる「川崎・中一殺害事件」の裁判員裁判において、昨日、
19歳の被告人に対し、短期懲役10年から長期懲役15年の求刑がなされました。
(少年の場合、成人と違って、求刑や判決は、不定期刑といって、
短期いくら、長期いくらという幅をもった形でなされます)。
事前にマスコミから「この事件は、どのくらいの刑でしょうか」と尋ねられ、
私は、「懲役10年から懲役15年」、あるいは「無期」のどちらかだと
答えていました。
結局、このうち1つ目の「懲役10年から懲役15年」の方になったのですが、実は、
19歳の少年の場合、少年法の規定上、ほぼ、この2つの選択肢しかありません。
仮に被告人が成人であれば、無期懲役の選択がなされなかった場合、
最高で懲役30年の求刑等することが可能である一方、
本件のように被告人が19歳の少年であれば、無期懲役を選択しない場合、
懲役30年という選択肢はなく、刑はガクンと下がり、先ほど述べたように、
懲役15年が最高(長期)になります。
もとより、このように成人との間で刑の長さに差が出るのは、現行少年法のスタンスが
少年の育成・保護に傾いている以上、やむを得ない面があるのかもしれませんが、
今回のような少年の被告人に無期懲役を選択しない場合に、次は、長くても懲役15年、
というのでは、「無期」と「15年」の間に、あまりに隔たりがあり過ぎるように思います。
少年法改正の動きも取り沙汰されていますが、これだけ酷い今回のような事件において、
無期懲役を選択しない場合の次に重い刑が、長期でも懲役15年というのでは、
天国の被害者が聞いて愕然として嗚咽しているのではないか、との思いになり、
私は、何ともやり切れません。
この点は、今後の少年法改正の論議の際には考慮すべき事項だと考えています。