茶道を習い始めてもう40年になります。

長いことお茶をやっていると何でもわかる・・・というわけではなく

分からないということを知っていくことが増えていくばかりです。

それが、まさに茶道は奥が深いという所以です。

 

その筆頭なのが、「茶杓」

毎回、拝見で出てきますが、「何を拝見するの?」

と思っていました。

 

竹で作られた、抹茶をすくう道具。

約20センチの長さのものですが、色と形以外見るところなど

10秒とかからないのではないでしょうか?

 

分からないことがわかっていない状況でした。

でも、いざ作るとなると、どのように形作ればよいか

知らなかったのです。

 

今まで何気に見ていた形や大きさ、厚みなど

どのようになっていたかなんて頭のなかにも描けませんでした。

実際、自分自身で茶杓を削る体験をしてみると、自分が思い描いていた

通りのものはできず、なぜか武骨なその姿に、何をどうしたらよいかさえ

分からなくなってきます。

 

そして、今まで使っていた茶杓を隅々までながめて、どのようにすれば

自分の理想の茶杓になるのかと、お手本にしてじっくり眺めます。

 

このようにお手本となると、じっくり隅々まで特徴をとらえようと

じっくり眺め比べなければ、どこをどのようにすれば良くなるのか

がわかりません。

 

それ以降、茶道の席において、茶杓の拝見の折には、自分が苦労した

箇所はどのように処理されているのだろうと拝見の茶杓を

ひっくり返しひっくり返しいろんな個所を拝見するようになりました。

 

実際、見どころは50か所もあり、わずか10秒では足らなくなります。

歴史や流派、人物や好みで色、艶、形など違いがあり、見るほどに

また調べるほどに、茶杓の奥深さを感じることができるようになります。

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