新古今・1485 前例のないこと
《新古今和歌集・巻第十六・雑歌上》1485四月(うづき)、祭(まつり)の日まで花散り残りて侍りける年、その花を使(つかひ)の少将のかざしに賜(たま)ふ葉に書きつけ侍りける紫式部神代(かみよ)にはありもやしけん桜花(さくらばな)今日(けふ)のかざしに折れるためしは☆☆☆☆☆【新編日本古典文学全集「新古今和歌集」☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(訳者・峯村文人・小学館)の訳】☆☆☆☆☆☆☆☆四月、賀茂祭の日まで桜の花が散り残っていました年、その花を祭の使いの少将の挿頭として帝から賜ったその葉に書きつけました歌紫式部神代にはありもしたことであろうか。桜の花を、今日の挿頭として折った例は。☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《和歌コードで読み解いた新訳》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取ったしじまにこのオリジナル訳です。)題詞;四月、葵祭(中の酉の日に行われた賀茂神社の祭)の日まで桜の花が散り残っておりました年、その桜の花を、祭りの遣いの少将に冠に挿すかざしとして帝から賜りました。そのかざしの葉っぱに歌を書き付けました。作者;紫式部神話の時代にもこれまでの代々の天皇の御代にもあっただろうか。出家して皇室から退いた人が今もなお天皇の血縁として居座り続ける前例は。✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《和歌コード訳の解説》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎この歌は、出家したあと、再入内していた藤原定子のことを言っているように思われます。紫式部:生没年不詳。973年〜1031年という説がある。中古三十六歌仙。女房三十六歌仙。1006年〜1012年頃、一条天皇の中宮、藤原彰子に仕えた。藤原定子:977年〜1000年12月16日(享年24)。一条天皇の皇后。藤原道隆の長女。990年1月25日、入内。996年、定子は、懐妊中に兄弟の起こした花山院奉射事件により、落飾して宮中を出た。しかし、一条天皇は周囲の反対を押し切って定子を再度、入内させようと清涼殿から遠い「中宮職の御曹司(みぞうし)」という場所に彼女をかくまい、人目を気にして夜中にこっそりと逢いに行っていた。脩子(しゅうし)内親王・敦康親王・媄子(びし)内親王の生母。二人目の内親王の出産のあとに亡くなった。かみよ:神の時代。神々が国土をつくり、治めた時代。神話の時代。神代。かみ:髪の毛。かみ:高いところ。上の方。上流。川上。高位の人。天皇。年上。上座。冒頭。以前。昔。上旬。京都。かみ:神。雷。人間の力を超えたもの。恐ろしいもの。人格化された存在。神社に祀られたもの。祭神。天皇。み:美しい。立派な。み:からだ。身分。身の上。自分自身。命。本体。中身。みよ:見よみよ:御代よ:現世。御代。治世。一生。生涯。寿命。世間。俗世間。時節。男女の仲。夫婦の仲。生活。暮らし。よ:余り。以上。ほか。よ:私。ある:生まれる。出現する。ある:荒々しくなる。荒廃する。すさむ。興ざめする。ある:遠のく。離れる。あり:存在する。いる。ある。生きている。その場にいる。居合わせる。時間が過ぎる。経過する。栄えて暮らす。優れている。良いところがある。もや:母屋。もや:(詠嘆・感動)〜まあ。〜よ。〜よなあ。もや:(疑問)〜だろうか。(心配・憂慮・懸念の気持ち)〜と困る。〜たら大変だ。〜ないだろうか。けむ:〜ただろう。〜たのだろう。〜たのだろうか。どうして〜たのだろうか。〜たとかいう。〜たとか聞く。〜たような。〜たという。さく:遠くへやる。放つ。遠ざける。引き離す。さく:切り離す。割る。引き裂く。切れて分かれる。割れる。裂ける。さく:無事に。変わりなく。つつがなく。幸に。さぐ:つるす。ぶら下げる。垂らす。おろす。低くする。後ろへさげる。退かせる。退出させる。格下げする。見下す。見下げる。侮る。くらす:心を暗くする。悲しみに暮れさせる。くらす:日が暮れるまで時を過ごす。過ごす。月日を送る。生活する。日が暮れるまで〜する。〜続けて1日を過ごす。はな:花。薄い藍色。華やかないこと。栄えていること。うつろいやすいこと。上辺だけの美しさ。芸の華やかさ。祝儀。はな:先端。末端。はし。はな:鼻。鼻水。風邪。はなつ:身から離す。手放す。自由にする。逃がす。あける。開く。発する。矢をいる。火をつける。除外する。追放する。流罪にする。けふ:今日。げふ:仕事。職業。かざす:花などを髪や冠にさす。飾り付ける。かざし:生命力を取り込むための呪詛。血縁。先祖。をり:存在する。座っている。〜し続ける。をり:その時。その際。場合。機会。季節。時期。をる:波が折り砕ける。寄せ返す。曲げる。折りとる。折り畳む。折れる。おり曲がる。気が挫ける。負ける。おる:高いところからおりる。貴人の前から退く。下がる。退出する。位を退く。ためし:例。前例。先例。手本。模範。話の種。世間の語り草。証拠。✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《「日本古典文学全集」の脚注》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎『紫式部集』に、第三句「山桜」。