新古今・1524 病気は治りました
《新古今和歌集・巻第十六・雑歌上》1524熊野に詣(まう)で侍りし時、奉りし歌の中に藤原秀能(ひでよし)奥山の木(こ)の葉(は)の落つる秋風に絶(た)え絶(だ)え峰の月ぞ残れる☆☆☆☆☆【新編日本古典文学全集「新古今和歌集」☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(訳者・峯村文人・小学館)の訳】☆☆☆☆☆☆☆☆熊野に参詣しました時、詠んでさしあげた歌の中に藤原秀能奥山の木の葉の散り落ちる秋風の中で、光がとぎれとぎれになって、峰の月が残っていることだ。☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《和歌コードで読み解いた新訳》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取ったしじまにこのオリジナル訳です。)題詞;熊野三社に参詣しました時、後鳥羽院に詠んでさしあげた歌の中の一首。作者;藤原秀能秋に吹く冷たい風で奥山の木の葉が散り落ちています。=私の子は秋に病気の風邪で命が危なかったのですが、なんとか、治りました。子の病気は峠を越えて絶えそうでいて絶えずに生き残ることができましたよ。✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《和歌コード訳の解説》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎藤原秀能:1184年〜1240年5月21日(享年57)。最初、内大臣の源通親に仕える。のちに、北面武士として朝廷に仕える。1201年7月、和歌所寄人としても朝廷に用いられた。熊野:和歌山県熊野三社。熊野本宮。熊野新宮。熊野那智神社。おくやま:人里離れた奥深い山。山の深いところ。おく:起き上がる。立ち上がる。目覚める。寝ないで起きている。おく:露や霜がおりる。置く。据える。設置する。さしおく。ほおっておく。間隔をおく。隔てる。あらかじめ〜する。やま:山岳。比叡山。墓地。天皇の陵。多く積み重なっていること。憧れたりあおぎみたりするもの。物事の絶頂。物事の最も重要な段階。こ:子は:端。葉。このは:ことのは:言の葉この:木のおつ:落ちる。落下する。降る。散る。光がさす。落ちぶれる。没する。病気が治る。逃げる。白状する。あきかぜ:秋に吹く風。あき:7月から9月あく:閉じていたものが開く。あく。隙間ができる。空間が生じる。時間的に空きができる。官職に欠員が生じる。物忌みなどが終わる、あける。あく:十分に満足する。飽きる。いやになる。かぜ:空気の流れ。風習。ならわし。伝統。風邪。たえだえ:絶えそうでいて絶えずに。とぎれとぎれに。みね:山のいただき。物の高くなっている部分。つき:月。月の光。一か月。つぎ:後に続く事。次位。劣る事。控えの間。跡継ぎ。世継ぎ。つく:終わる。果てる。尽きる。なくなる。消え失せる。きわまる。つく:呼吸する。息を吐く。食べ物をはく。うそをつく。つく:突く。打ち鳴らす。手で支える。ぬかづく。つく:築く。つく:付着させる。体を寄せる。備わる。感情が生まれる。起こす。気にいる。取り憑く。後に従う。味方する。寄り添う。はっきりする。届く。就任する。関して。ちなんで。のこる:あとにとどまる。残る。生き残る。死に遅れる。✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《「日本古典文学全集」の脚注》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎『如願法師集』に、第三句「山風に」、結句「雪ぞ残れる」。詞書「熊野御幸の時、秋の歌召し侍りしに」。