《新古今和歌集・巻第十五・恋歌五》

 

1347

返し

藤原惟成(これしげ)

萩(はぎ)の葉や露のけしきもうちつけにもとより変る心あるものを

 

 

☆☆☆☆☆【新編日本古典文学全集「新古今和歌集」☆☆☆☆

☆☆☆☆☆☆(訳者・峯村文人・小学館)の訳】☆☆☆☆☆☆☆☆

 

返し

藤原惟成

萩の葉は、まあ、そこに置く露の様子も、

突然に、最初から色変わりする趣がありますのに。

ーーあなたの心もあてになりません。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《和歌コードで読み解いた新訳》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

 

 

(※『和歌コード』とは、

直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。

この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。)

 

 

題詞;1346番への返事

 

作者;藤原惟成

 

 

私への恋心が

外に漏れてしまったのは

ほんの少しの顔色やそぶりからでした。

 

露骨で軽率に

私への好意を見せていましたね。

 

しかし、

昔から

私に好意を寄せていたのでしょう。

 

最初に逢った時から

普通と違う愛情があったので

外に漏れ出てしまったのでしょう。

 

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《和歌コード訳の解説》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

 

藤原惟成:953年〜989年11月1日(享年37)。

円融天皇・花山天皇に仕えた。

986年、「寛和の変」で

花山天皇が退位・出家したことに伴い、自らも出家した。

 

はぎ:すね

はぎ:萩

はぐ:はがす。脱がせる。物の表面がはがれる。はげる。

 

は:羽。羽毛。翼。矢羽。

は:はし。へり。ふち。

 

つゆ:水滴。露。わずかのこと。少しのこと。儚さ。もろさ。涙。袖括りの紐の先。

 

けしき:表情。面持ち。顔色。態度。そぶり。景色。情景。ありさま。眺め。兆し。前触れ。意向。意中。考え。機嫌。気分。愛情。寵愛。事情。わけ。内情。いささか。ほんの少し

 

うちつけ:突然だ。だしぬけだ。露骨だ。軽率だ。

 

もと:根本。よりどころ。基本。根本。幹。以前。かつて。昔。原因。はじまり。起源。上の句。住所。居所。付近。近辺。元手。資金。

 

より:〜から。〜より。〜を通って。〜よりも。〜を用いて。〜以外。〜だから。〜とすぐに。

 

よる:基づく。原因となる。影響をうける。かかわる。応じる。

よる:近づく。接近する。集まる。よりあう。訪れる。心ひかれる。好意をよせる。頼りにする。寄りかかる。乗り移る。

よる:何本か捻り合わせて一本にする。

 

かはる:異なる。変わる。月や年が改まる。普通と違う。異なっている。他と交代する。

 

こころ:心。精神。気持ち。心情。感情。性格。気立。意志。意向。愛情。思いやり。なさけ。思慮。分別。趣。風情。心構え。用意。本質。趣旨。中心。

ころ:女性や子ども。

 

ある:生まれる。出現する。

ある:荒々しくなる。荒廃する。すさむ。興ざめする。

ある:遠のく。離れる。

 

ものを:〜のに。〜ものの。〜けれど。〜ので。〜だなあ。〜のになあ。〜ものだなあ。

 

もの:物体。品物。事情。一般のもの。考えていること。想っていること。話すこと。様子。事態。状況。ある場所。魔物。怨霊。

 

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎《「日本古典文学全集」の脚注》✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

 

惟成集