とりものの歌

よみ人しらず

み山には霰降るらし外山なるまさきの葛色づきにけり

 

〈古今和歌集  巻第二十   神遊びの歌       1077〉

 

 

++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++

 

奥山にはあられが降っているらしい。

里に近い山にあるまさきの葛が

色づいたことであるよ。

 

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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□

 

 

(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。

この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。)

 

 

題詞;神事に使われる葛の歌

 

作者;私の名は伏せておきます。

 

 

天皇の陵には、

 

あられのような涙を流している人がいるらしい。

 

人里に近いこちらの山では

 

幸せを祈る神事に使われる「まさきのかづら」が

 

色づいています。

 

その色は、

 

人の優しさや思いやりを

 

表現しているように見えますよ。

 

 

 

□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□

 

みやま;深山。山の美称。天皇の墓。御陵

あられ;霰。夏に降るひょう

とやま;人里に近い山。連山の端にある山

まさきのかづら;神事に用いられた

まさきく;無事に。幸せに

いろづく;季節の色に変わる

いろ;色合い。喪服の色。顔色。表情。華やかな色艶。気配。優しさ。思いやり。恋愛。恋人。容姿や髪が美しい。風流である。