題しらず

よみ人しらず

いにしへの野中の清水ぬるけれどもとの心を知る人ぞくむ

 

 

〈古今和歌集  巻第十七   雑歌上       887〉

 

 

++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++

 

昔は冷たく旅人が好んで汲んだ野中の清水も、

今は湧き水が少なくて、ぬるくなっているが、

昔のことを知っている人はやはり汲んでおりますよ。

 

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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□

 

 

(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。

この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。)

 

題詞と作者;テーマも私の名も伏せておきます。

 

 

 

過去に付き合いがあったが、

 

疎遠になっていた昔の友人や恋人は、

 

情が薄くなってしまうものです。

 

でも、

 

私の元々の人柄や思いやりの心、思慮深さなどを

 

知ってくれている人は

 

原因や事情を理解して

 

私の心中を推し量り

 

汲み取ってくれるものですね。

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□

 

テーマが続いています。

色々な事情があり、疎遠になった人も

人柄を分かってくれていれば

気持ちを分かってくれると詠んでいます。

 

 

いにしへ;ずっと昔。過去

のなかのしみず;疎遠になった昔の恋人、友人のたとえ

ぬるし;冷淡だ。情が薄い

くむ;人の心中を推し量る。思いやる。汲み取る

こころ;気持ち。愛情。思いやり。事情

もと;基本。昔。原因