題しらず

よみ人しらず

いで我を人なとがめそ大舟のゆたのたゆたにもの思ふころぞ

 

〈古今和歌集  巻第十一  恋歌一    508〉

 

 

++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++

 

さあ、人は私をとがめないでください。

大舟がゆらゆら揺れるように

心もたゆたう物思いをする頃なのですから。

 

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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□

 

 

(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。

この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。)

 

 

題詞;テーマは伏せておきます

 

作者;私の名は明かさないでおきます(が、藤原高子です)。

 

 

いやはや、全く、

 

立ち向かわないで逃げた私をどうかどなたも

 

責めたり咎めたりしないでください。

 

頼りにしていた大舟が頼りなく漂って定まらなくなり、

 

大声で泣く息子(陽成天皇)を

 

人目から包み隠すためにしたことです。

 

あの頃は心が動揺して、息も絶えそうなほど

 

思い悩んでいたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□

 

内容から、藤原高子の歌だと読みとれます。

 

いで;いや。さあ。いやはや。全く。本当に。そもそも。ところで

いで;~ないで

いであふ;立ち向かう

とがむ;咎める。責める。非難する

おほぶねの;たよりにする。ゆれる

ね;泣き声

おほふ;包み隠す

ゆた;ゆったりとしている

ゆたふ;ゆるむ。たるむ

たゆたふ;漂って定まらない。心が動揺して決心がつかない。ためらう

たゆ;息が絶える

ものおもふ;物思いにふける。思い悩む

ころ;時分。時節

ころ;子どもや女性を親しんで言う語