よみ人しらず
しひて行く人をとどめむ桜花いづれを道とまどふまで散れ
〈古今和歌集 巻第八 離別歌 403〉
++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++
無理に別れて出立しようとする人をとどめたいものだ。
桜花よ。
道のある所と無い所が区別できずに困惑するほど
散ってほしい。
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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□
(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。
この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った
しじまにこのオリジナル訳です。)
作者;私の名は明かせません。黄泉の国に逝こうとする人に捧げる歌
無理に太宰府に左遷された道真は
いま、天国に行こうとしている。
無理にでもあちらの世界(天国)に行こうとする彼を
桜花よ、どうか私と共に
天国に行かないように
引き止めておくれ。
私の涙が次々に流れて止まらないように、
花びらをたくさん散らせて
どちらの方向が天国への道か分からなくなるように
しておくれよ。
□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□
春に亡くなった人の話題です。
前の歌に引き続き、
903年2月25日に左遷された先の太宰府で亡くなった
菅原道真のことだと思われます。
花びらをたくさん散らして
天国への道がどちらかわからなくなるほどにしてほしい…
と桜に懇願している作者。
とても美しく、哀しい光景ですね。
しひて;無理に
じひ;思いやり。慈しみ。情け
しふ;目や耳が機能を失う。老いぼれる
いく;天国に逝く。行く
とどむ;引き止める
さく;裂く
くらし;涙で目の前が曇る
はな;離れる。放つ
いづれ;どの。どこ
みち;道。
まどふ;迷う
ちる;散る