雲林院の親王の舎利会に山にのぼりて帰りけるに、

桜の花のもとにてよめる

幽仙法師

ことならば君とまるべくにほはなむ帰すは花のうきにやはあらぬ

 

〈古今和歌集  巻第八  離別歌    395〉

 

 

++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++

 

どうせ咲いているのなら親王様がとどまってくださるほどに

美しく咲き誇ってほしいものだ。

むざむざお帰しするようでは親王様にとって、

嫌な花になるのではないでしょうか。

 

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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□

 

 

(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。

この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。)

 

題詞;(先ほどの歌に続けて)

常康親王(仁明天皇の第七皇子)が、

仁明天皇の法事を主催された。

比叡山にて舎利会をして帰って来た時、

桜の花の下で涙で目の前を暗くしながら

詠んだ歌

 

作者;幽仙法師

 

 

 同じことなら、

仁明天皇が死なないで、

この世に留まりたくなるほど

桜は強烈に香りを放ち、

咲いてもらいたい。

天皇の魂を天国に返すようならば

桜の花が薄情で

あてにならないということではないだろうか。

 

 

 

□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□

 

一つ前の歌に続いての歌です。

 

ことなり;違っている。特別だ。格別だ

ことならば:同じことなら。

こと;仏事。行事

こ;こども

にほふ;良い香りがする

なむ:今頃は〜だろう。〜てほしい。〜てもらいたい。

かへす;元の状態に戻す

うき;不安定だ。落ち着かない。根拠がない。いいかげんである。あてにならない。

うし;つらい

やはあらぬ;~してくれたらいいのになあ