「今はこれより帰りね」と、
実がいひける折によみける
藤原かねもち
したはれて来にし心の身にしあれば帰るさまには道も知られず
〈古今和歌集 巻第八 離別歌 389〉
++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++
あなたのことが慕われて、
ここまであなたと共に来てしまった心が宿っている
我が身なのだから、
別れて帰る時には心が離れて、
まったく道もわからないと思います。
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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□
(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。
この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った
しじまにこのオリジナル訳です。)
題詞;「今すぐに、ここから帰ってほしい」と源実が言ったときに
詠んだ歌
作者;藤原兼茂
この人たちはあなたの事を慕って
ずっと後を追ってきたのです。
ただもう純粋なその気持ちだけでついてきたので
あなたと離ればなれになるのであれば
気持ちが荒れてしまいそうです。
人々が帰っていく様子を見ていると
気持ちが満たされず、
道もよく分からないかのように
呆然となっていましたよ。
□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□
源実の詳細が分からないのですが、
人々がたくさん彼の後を追ってくるほど
慕われていた人格者だったのでしょう…。
いま;いますぐに
これ;ここ
帰りね;帰ってほしい
したふ;慕って後を追う
く;来る。ずっと~している
み;美しい。身体
のみ;ただもう~する
ある;荒れ狂う
ある;離れる。散り散りになる
さま;様子。姿
みち;道。満ちる事
しる;理解する。わかる