藤原後蔭がからもののつかひに、長月のつごもりがたにまかりけるに、
うへのをのこども酒たうびけるついでによめる
平もとのり
秋霧のともに立ちいでて別れなばはれぬおもひに恋ひやわたらむ
〈古今和歌集 巻第八 離別歌 386〉
++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++
秋霧の立つのと共に出立なさって、お別れしてしまうと、
私は晴れぬ思いのままあなたを恋い慕い続けることでしょう。
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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□
(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。
この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った
しじまにこのオリジナル訳です。)
題詞;
894年9月末、藤原後蔭が、遣唐使が廃止されるときの使者として
(または、唐からの舶来品を扱う仕事で)太宰府に下ることになった時のこと。
殿上人の男たちが酒(さく;遠くへやる)とい意味で酒をくださった。
その機会に詠んだ歌。
作者;平元規
藤原後蔭が太宰府に下って行ったあの秋の日。
私たちはお互いに目に涙を一杯にためて
別れを告げたものです。
あの秋の日以来、心は晴れないまま。
距離も時間も超えて
彼のことを思い慕う気持ちは
ずっと持ち続けていることですよ。
□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□
秋の日の別れを詠んでいますので、
前の歌に引き続いてのテーマです。
きり;涙で目の前に霧がかかっているようになっている
とも;共。友
たちいづ;出てくる
わかれ;離別
はる;心が晴れる
おもひ;思慕。愛情。悲しみや心配の気持ち
こひ;離れた所の人を思う慕うこと
わたる;越えて行く。すごす。長い間ずっと~し続ける
らむ;今ごろは~しているだろう。~とかいう