越の国へまかりける人によみてつかはしける

凡河内みつね

よそにのみ恋ひやわたらむしら山の雪見るべくもあらぬわが身は

 

〈古今和歌集  巻第八  離別歌    383〉

 

 

++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++

 

遠くに離れたままでずっと恋い続けようか。

白山の雪を見に行くことも出来そうにない私は。

 

+++++++++++++++++++++++++++++

 

 

 

 

 

□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□

 

 

(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。

この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。)

 

題詞;ある人が遠方で亡くなったので、歌を詠み、

越の国へ下る人に、持って行ってもらった。

 

作者;凡河内躬恒

 

 

あなたはとりわけ遠いところばかり求めて

 

白山を越えて旅に出ようとなさる人でした。

 

そんなあなたがこの度は、この世を越えて

 

向こうの白い世界に逝ってしまわれた。

 

遥か遠く天国に向かってあなたのことを

 

懐かしく、恋しく思い出しながら

 

頭を垂れてひたすら神仏に祈るばかりです。

 

私の命があるうちに、

 

あなたがおられる白山の雪を見るところまで

 

行けそうにないので、

 

この歌を人に託して届けましょう。

 

 

 

 

 

□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□

 

まかる;地方へ下る。死ぬ

よそ;遠いところ

のみ;とりわけ。特に

のむ;頭を垂れて祈る

こひ;離れた所の人を懐かしく恋い慕うこと

こふ;求める。欲しがる

わたる;越えて行く

白山;白い世界;あの世

やま;墓

ゆき;行くこと。旅。雪のような涙

べくもあらず;~できそうもない。~はずもない

わがみ;自分

み;命