あひ知れりける人の越の国にまかりて、
年経て京にまうで来て、又帰りける時によめる
凡河内躬恒
かへる山なにぞはありてあるかひは来てもとまらぬ名にこそありけれ
〈古今和歌集 巻第八 離別歌 382〉
++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++
「帰る山」とはいったい何だよ。
それはまさしく存在していて、
存在している価値もあるのだけれど、
それは都へ来てもとどまることなくすぐ帰るゆえの
命名であったよ。
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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□
(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。
この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った
しじまにこのオリジナル訳です。)
題詞;昔親しく交際していた人が、越の国(北陸地方)に下っていた。
年月が経ってから京の都へやってきたのだが、
また帰ってしまうというので詠んだ歌
作者;凡河内躬恒
「かへる山」という地名には、何か人を離ればなれにさせる
効果があると思っていました。
せっかく京にやってきたあなたが
うちに泊まって行かないのは、
あなたが行く方向に「山に帰りたい」という気持ちにさせると評判の
「かえる山」があるからだね。
□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□
あいしる;見知ってる。親しく交際する
こし;北陸地方
まかる;地方へ下る
としふ;年月がたつ
まうでく;伺う。参ります
かへる;帰る
なにぞ;何か。なぜ
あり;存在する
ある;遠のく。離れる
かひ;効き目。効果
とまる;宿泊する
な;名前。評判