あふさかにて人を別れける時によめる
なにはのよろづを
相坂の関しまさしきものならばあかず別るる君をとどめよ
〈古今和歌集 巻第八 離別歌 374〉
++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++
逢坂の関がまさしく逢うものであり、
せきとめるものであるならば、
満たされぬままで別れて行くあの方を
とどめてほしいものです。
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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□
(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。
この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った
しじまにこのオリジナル訳です。)
題詞;結婚して、大阪で一緒に暮らしていた妻が
亡くなろうとしている時に詠んだ歌
作者;ペンネーム、大阪に住む長寿の男
結婚して共に仲良く暮らしていた妻が
私よりも先に亡くなろうという前兆が見られ、
私は苦しい気持ちをこらえている。
大阪の関守が、人の運命を終わらせて
天国に行かせるかどうか決めるという話に
間違いがないのなら、
名残惜しいまま別れ別れになる私の妻を
どうか引きとどめておくれよ。
私は彼女の側で灯火を灯して明るくし、
眠らないで夜を過ごしているのです。
□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□
前の歌に引き続き、「なみはのよろづを」はペンネームです。
しかし、男性であることが分かるので、この歌は
妻と死別する時に詠んだものだと思われます。
逢坂の関;滋賀県大津市にあった関所
あふ;結婚する。似合う。一緒に~する
あふ;耐える。こらえる
おふ;終わらせる。し尽くす
さが;運命。宿命。前触れ。前兆
わかる;別れ別れになる。離別する。死別する
なには;大阪市一帯
なに;なぜ。どうして
よろづ;数が多いこと
を;男
ひと;(夫婦などの親しい間柄で)あなた
せき;関所
せく;せき止める。男女の仲などをじゃまする
まさし;間違いない。正しい
あかず;名残惜しい
あかす;眠らないで夜を過ごす。灯火を灯して明るくする
とどむ;制止する