よみ人しらず
降る雪はかつぞけぬらしあしひきの山のたきつ瀬音まさるなり
〔古今和歌集 巻第六 冬歌 319〕
+++++【古今和歌集(片桐洋一訳 笠間文庫)の訳】+++++
降る雪は、同時に一方で消えていくらしい。
冬が来たのに山の激流の音が、
さらに激しく聞こえることだよ。
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☆☆☆☆☆【和歌コードで読み解いた新訳】☆☆☆☆☆☆
(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。
この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った
しじまにこのオリジナル訳です。)
作者;私の名は明かさないでおきます。
やまない雪のように、ずっと涙をこぼし続けている陽成天皇。
彼はすでに山の方へ姿を消してしまったようだ。
山の方から荒々しい早瀬の音がしている。
あの荒々しい音は陽成天皇の泣き声。
見苦しく大きな声なので、山の方へ連れていかれたのだろう。
彼が苛立って発している声が
更に強まっているようですよ。
☆☆☆☆☆【和歌コード訳の解説】☆☆☆☆☆
ふる;涙がこぼれ落ちる
ゆく;立ち去る
かつ;すでに
けぬ;消えてしまう
あしひきの;山と同義
あし;見苦しい。みっともない。激しい
ひき;率いること。導く。連れて行く
やま;たくさん
たぎつ;いらだつ
たぎつせ;早瀬
おと;響き。こえ
まさる;強まる。増す